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» 2018年12月19日 08時00分 公開

AI技術でタクシー配車を最適化する「リアルタイム移動需要予測」とは?5分で分かる最新キーワード解説(4/5 ページ)

[土肥正弘,ドキュメント工房]

「モバイル空間統計」のポイントは?

 AIタクシーの技術の要点を見てみよう。モバイル空間統計(リアルタイム版)とは何だろうか。ベースとなるのは、NTTドコモが保有する携帯電話網約7700万回線の運用データだ。膨大なデータには携帯電話などの位置(GPSではなく基地局への電波到達状況で端末の位置や方向を特定する)、位置情報を得た時刻、携帯電話ユーザーの属性などが含まれる。

 同社は防災研究の過程で2010年からデータを統計的に処理する手法の研究を進めた。プライバシーに関わる情報を排除し、個人特定が不可能な状態にした上で、特定エリア内の人数分布、移動人数の他、性別や年代などの属性別の人数構成を推定できるモバイル空間統計技術を確立した。プライバシー保護の要点は「モバイル空間統計ガイドライン」としてまとめられている。

 モバイル空間統計は携帯電話網運用データから氏名や電話番号などの個人を識別できる情報を削除し、生年月日は「30代」「40代」のように年齢層に変換する。その他の数値も丸め込みなどの処理をした上で不可逆符号に変換(ハッシュ化)する。どのようにしてもデータから個人を識別できないように非識別化処理を行うのだ。

 その後、性別や年代別などの属性ごとに携帯電話の台数をエリア別に割り出し、ドコモ携帯電話の普及率からそのエリアの人口(他社携帯電話ユーザーや非ユーザーも含む)を推計する(集計処理)。

 エリア内に数人程度の人口密度の場合は、エリア情報から個人を特定できる可能性があることから、少人数のエリアの数値は除く処理も行う(秘匿処理)。

 このようにプライバシーに関わる情報を除いて、あくまで統計的な情報としてエリア内人口を推計するのがモバイル空間統計だ。AIタクシーの場合は、こうした処理を直近のデータに対して行い、ほぼリアルタイムで人口推計する技術(リアルタイム版)を使う。

図3 「モバイル空間統計」のプライバシー保護の仕組み 図3 「モバイル空間統計」のプライバシー保護の仕組み

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