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» 2019年06月10日 10時00分 公開

中国の保険AIはどこまで顧客体験を変える? 平安保険の狙い(2/3 ページ)

[原田美穂,キーマンズネット]

保険請求体験のデジタル変革は「三方ヨシ」の設計

 平安保険はこのユーザー体験の問題を合理的かつ現代的な方法で解消する。必要なのはスマートフォンとSMSだけだ。

 「車両全体の状況が分かるよう、スマホのカメラなどを使って車両を一周撮影して、その動画を送信するだけで済むようになっている。15〜20秒くらいの動画をアップロードしてくれれば、バックオフィスでビッグデータを活用したデータ処理を行い。自動で分類します。ここでいう「分類」とは。自動車の車種や年式、パーツ、オプションの有無などです。そして損害費用の算出、賠償と修理の手配も行います」(Wang氏)

 動画を送信してからこの手配までで10分ほどで完了するという。顧客からすれば、10分後には修理の持ち込み先が確定しており、修理工場も即時で手配情報を受け取れる。保険会社も現地まで状況確認のために移動しなくてもよく、結果として少ない人員でより多くの案件を処理でき、移動交通費などの経費も大幅に削減できる。まさに顧客、取引先、自社ともに有益な方法といえる。

図4 車両保険請求の全体像 図4 車両保険請求の全体像《クリックで拡大》

ベテランが5分かかる仕事を0.145秒で

 「ほとんどの自動車は車体を14ほどのパーツに分類できます。その上、車両事故で損害を受けやすいパーツは決まっています。フェンダーやドアが損害を受ける頻度は高く、ルーフトップが影響を受けるケースはまれです。損傷の程度は『よい』『塗装が削られたレベル』『板金加工などの修理が必要なレベル』『大破』の4種類に分類すれば良い。これに車種やパーツの型番判定を組み合わせれば良いわけです」(Wang氏)

 車種判定などの画像の判定はどうしているか。顧客から送られてくる動画が高精細であるとは限らない。光の加減などで損傷が見えにくいことも考えられる。そこで、送信された動画を基に分類する際には、前処理を施す。ここでは、約50層のたたみ込みニューラルネットワークを使っているという。ここの画像処理では、反射の状況を見やすくしたりする他、「過去の修理の痕跡」も捜索するという。

 同じ仕組みは車の特徴判定にも利用する。見つけ出した特徴を国内で流通する車両の特徴データベースと照合する。

 「人力で評価する場合は、どんなにベテランでも5分ほどかかっていた処理が、コンピュータを使えば0.145秒で完了します」(Wnag氏)

図5 たたみ込みニューラルネットワーク(CNN)を使った画像処理 図5 たたみ込みニューラルネットワーク(CNN)を使った画像処理《クリックで拡大》
図6 損傷査定 図6 損傷査定《クリックで拡大》

画像分類のスピードはもはや秒もかからず

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