同社はこのAIを生かした保険商品を、人間や車以外にも展開する。その一つが家畜向け保険や農業保険だ。
農地は往々にして交通の便が悪いか都市部から遠い場所にある。1口百元程度の保険に対して、移動して保険手続きを進めるのはコストがかかりすぎる。各地に支店を置いてはいるが、半日がかりで移動が必要なことも少なくないため、都市部の支店では対応できない。
内陸部の農家の豚1頭に保険を掛けられた場合「その豚が本当に保険を適用した豚かどうか」「本当に日が似合ったのか」を判定するのは労力がかかりすぎる。
「AIを使った家畜の鑑別では飼育場や、飼料供給時の様子などを動画で管理する。豚は6カ月ほどで出荷するが、動画を定期的にチェックすることで出荷までの豚の状態を確認できる。同一個体かどうかは豚ならば例えばしっぽの巻き方、耳の形、模様、足の形状で判断できる。地域ごとの豚の種類も把握できる」(wang氏)
この仕組みは保険のためだけでなく利用者側の利益にもなるようにサービスを設計してある。従業員管理や畜産計立案支援などの牧場経営支援にも役立つアプリケーションとして提供することで利用を促す仕組みだ。日々使うアプリケーションの中に保険を組み込むことで、新たな個体が生まれたら個体管理と同時にワンクリックで保険を契約できるようにする。
同じような仕組みを医療にも生かし、へき地での医療サービス推進にも注力する。「CTスキャン画像の読影スキルのある医者を育成するには7〜8年の訓練が必要とされる。中小の地方都市ではこうした識別ができる人材がそもそもいない場合もある。こうした地域でもサービスを展開できるようになると考えている」(Wang氏)
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