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テレワーク監視ツールが見つけた「1日5時間サボリーマン」の実態

在宅勤務の従業員を抱える企業の過半数が、監視ソフトウェアを利用している。それらの企業の大多数が、業務と無関係なネット閲覧の発見や生産性の向上を果たしていた。

» 2021年12月07日 07時00分 公開
[Ryan GoldenHR Dive]
HR Dive

 テレワークは全ての職種に最適な働き方ではないものの、HRの常識を大きく変え、業界全体に影響を与えている。最近の報告では、柔軟に勤務形態を選べるようになったエンジニアの中には、地方で働くことを選択する者がいる(注1)。一方で、企業はテレワーカーの勤務実態を把握して生産性を上げたいと考えている。

 2021年9月に米国のビジネスレビュープラットフォームDigital.comが実施した調査の結果によると、在宅勤務の従業員を抱える企業の60%が、監視ソフトウェアによって従業員を追跡している(注2)。

サボり人員の解雇で生産性向上、従業員に無断で監視する企業も

 1日あたり1〜4時間、業務から離れたり業務と無関係なインターネット閲覧をしていたりする従業員を発見した企業は52%あり、5時間以上の「サボり」従業員を発見した企業は27%あった。

 監視ソフトウェアを利用する企業のうち、14%が従業員に通知していない。広告系企業と情報技術関連企業は監視ソフトウェアを採用する傾向が最も高く、監視ソフトウェアを導入した81%が「生産性が向上した」と答えた。監視ソフトウェアの導入後に「サボり」を理由とした従業員の解雇を実施した企業は88%に上った。

 従業員のテレワークを監視するニーズは、コロナ禍でテレワークが爆発的に普及した2020年以降とりわけ目立つようになったが、実は以前から存在していた(注3)。雇用主が従業員の活動を追跡する主な理由は「生産性の向上」だが、コンタクトトレーシング(接触者追跡)や知的財産の保護が目的と回答する企業もあった。

 しかしコンプライアンスの専門家は、以前のHR Diveのインタビューにおいて、テレワークの監視を制限する法律がパッチワークのように乱立していることを警告している(注4)。また、テレワークする従業員の仕事ぶりをオフィスと同じレベルで監視できるようにすることが、リーダーシップの視点から果たして良いことなのかどうか、メリットとリスクを踏まえてよく考える必要があるとしている。

 従業員の立場も考慮しなければならない。テクノロジーワーカープラットフォームBlindの匿名ユーザーを対象とした2018年の調査では、回答者の約4分の1が、雇用主が従業員を監視する時間が「不当に長い」と述べている。また、CIO Diveには「労働者の追跡が従業員の電子プライバシー保護と相反する可能性がある」と指摘するコメンテーターもいる。

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