富士キメラ総研の調べによれば、2009年度の大規模企業向けERP市場は992億円、数量で1030ライセンスであった。2009年初頭より、大型案件を中心にした先送りや投資規模の縮小といったケースが増え、この傾向が2009年中続いていたため、金額ベースで前年実績を6%程度下回った。
2010年に入ると一部案件の復活や新規引き合いが増加傾向となっており、一時期の市場鈍化傾向から脱してきた感がある。2010年度後半からの新たな市場拡大が期待される。
中長期的には、IFRSのもたらすインパクトが考えられる。セミナーや意見交換会が活発に行われており、影響度分析から基本計画策定を経て、具体的なシステム開発に至るケースが、今後1〜2年を経て増加すると見られ、大幅な上方修正も想定される。
2009年度の市場占有率を見ると、数量ベースで35.0%、金額ベースで50.4%を占めたベンダーが、いずれも1位だった。市場が全体的に売り上げ減という状況のなか、チャネル対応の拡充やユーザーごとに適切なソリューション提案を行うことで新たなユーザー層の掘り起こしを強化しており、案件自体は拡大傾向にある。
また、2009年度にSCM系2製品を投入したことでERPの主要領域をカバーし、統合ERPとして訴求を行っているベンダーは、数量で24.3%、金額で14.6%といずれも2位に入った。2009年は会計系が伸び悩んだものの、主力であるHR系は堅調な需要を獲得している。
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