富士キメラ総研の調べによれば、2009年度の統合ID管理ツール市場は、数量(導入社数)が295社で前年比5.4%増、金額が40億7000万円で前年比0.7%減であった。2008年度まで大規模企業への導入に加え、内部統制需要による中堅企業層への新規開拓が進んだことから順調に成長してきた。しかし2009年度は、景気悪化の影響を受けて製造業大手を中心に凍結案件や延期案件が見られたことから、金額ベースでの市場は微減となった。
2009年度の市場占有率を見ると、数量ベースでは、比較的低価格な製品を提供している1位のベンダーが23.7%を獲得した。文教向けユーザーの堅調な増加に加え、従業員数千名程度の中堅企業での導入が拡大したことがユーザー数増加につながった。金額ベースでは、ID管理によるコスト削減効果を訴求して、既存ユーザーの更新需要や他社製品からのリプレース案件を増加させた1位のベンダーが18.4%を獲得した。
2010年度は、大手企業における需要は一巡しているものの、景気回復に伴って中堅規模企業での内部統制対策用途での需要が再度見込まれること、景気に左右されにくい大学や学校法人など文教向けでの需要は堅調に見られることなどの要因から、市場は再び上向いていくものとみられている。
なお、本調査の市場見込・予測では、東北地方太平洋沖地震による影響は織り込まれていない点に注意されたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.