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2014年企業におけるタブレット導入白書すご腕アナリスト市場予測(2/4 ページ)

スマホが携帯電話を置き換えたように、タブレットがノートPCの代わりとなる日は? 企業でのタブレット導入シナリオに迫る。

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「タブレットらしさ」が生きてくる活用シナリオ

 次に実際のタブレット活用シナリオについて考えてみよう。以下のグラフは年商500億円未満のユーザー企業に対し、タブレットも含めた「スマートデバイスへの投資において重視する事柄(複数回答可)」を尋ねた結果のうち、比較的多く回答された項目をプロットしたものだ。

 この結果を見ることで、ユーザー企業の視点で見た時のタブレット活用シナリオの有力候補が見えてくる。

スマートデバイスへの投資において重視する事柄
図3 スマートデバイスへの投資において重視する事柄(幾つでも)(出典:ノークリサーチ「2013年版中堅・中小企業におけるPC環境の実態と展望レポート」)

 最も多く挙げられているのは「ペーパレス化などのオフィス内における社内活用」である。多くのユーザー企業が最初に思い付くタブレット活用法の一つといえるだろう。だが、冒頭でも述べたように「ペーパレス化」で投資対効果を得るためには相応のボリュームが必要だ。利用する社員数が限られると、コスト削減効果よりも紙面の電子化に伴うコスト負担の方が大きくなってしまう可能性がある。

 そこで重要となるのが「コスト削減だけでなく、売上を向上させる」という視点だ。これに該当するのが「販促資料の電子化などの顧客接点での活用」である。この活用シナリオのメリットは単に紙面のカタログを電子化できるだけにとどまらない。

 サービス業であれば、

  • 現地で撮影された動画閲覧などを交えながら、さまざまな旅行プランのシミュレーションを顧客とインタラクティブに行う
  • カメラを通じて顧客の顔を画面に映し、そこに電子化された髪形カタログを重ねることでカットの仕上がりイメージを事前に確認してもらう

 などといった活用法が考えられる。いずれもスマートフォンよりも大きな画面を持つタブレットだからこそ可能な活用法といえるだろう。

 では、社内でタブレットを活用する機会がないかといえば、決してそのようなことはない。実際、先に挙げたグラフにおいても「工場や倉庫といったオフィス以外での社内活用」という項目が挙げられている。

 この具体例としては「製造業における部品表や設計図の共有」が挙げられる。例えば、電子機器や精密機械を製造する工場は「クリーンルーム」となっていることが多い。クリーンルーム内は少しの粉塵(ふんじん)も大きな問題となるため、インクの粉が落ちる危険性のある紙面を持ち込めない場合がある。こうした時にHDDなどの駆動装置もなく、ホコリを出す心配もないタブレットが重宝されるわけだ。逆に、粉塵や湿気の多い工場内でも使いたいというニーズもある。こうした流れを受けて、防塵や防水に力を入れたタブレットも登場してきている。

 このようにタブレットは、紙面(アナログ)とPC(デジタル)のいずれも適用が難しかった新たな領域を開拓しつつある。それは先のグラフにおいて「スマートデバイスを生かした新しい業務システムの構築、導入」が挙げられていることからも確認できる。

 その具体例の一つがグラフの一番下に挙げられた「POSレジなどの専用端末の代替としての活用」だ。全体に占める割合は5%未満とまだ少ないが、小売業やサービス業を中心に導入事例が徐々に増えてきている。

 従来、POSレジは専用機器として提供されてきた。商材ごとの売上状況を把握するには必須だが、中小企業や零細企業にとっては投資負担の重いものでもあった。だが、同じ仕組みは「タブレット+バーコードを読み取りなどの担うスキャナ+レシートを印刷するプリンタ+現金を格納するキャッシュドロワー+全てを制御するアプリケーション」を組み合わせることによって実現が可能だ。これがタブレットによるPOSレジ代替である。

 ここで注目すべきなのはPOSレジ専用機器と比べた時のコスト削減効果だけではない。単にコストを切りつめたいだけであれば導入済みの専用機器を再リースするなどの手段もある。重要なのは「アプリケーション次第でさまざまな付加サービスを展開できる」ということだ。

 例えば、eコマースとの共通ポイントを発行する、顧客の購入履歴を把握してサービス向上に役立てる、会計システムと連動させるなど工夫次第でさまざまな横展開が可能になるわけだ。「タブレット自身が持つ機能に加えて、さまざまなデバイスとの親和性とアプリケーションによる自由度を最大限に生かす」ことによって、今後さらに多様な活用シナリオが生まれてくるだろう。

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