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SNSが引き起こす恐怖のセキュリティ事件簿セキュリティ強化塾(4/4 ページ)

なりすましに乗っ取り、不適切投稿。個人だけじゃない、SNSが起こす恐怖の事件例を紹介する。SNS上での「友達の友達」は約8500人?

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会社や個人の名誉やブランドを傷つける不適切利用を防ぐには?

 情報の不正利用にまつわる注意点を挙げたが、いわゆる「炎上」による嫌がらせや営業妨害、名誉毀損に関連する注意点を簡単に紹介しよう。日本ではTwitterを利用したこの手の攻撃が多い。

 有名な個人や会社の名をかたり、他社を誹謗、中傷したり、政治的、宗教的な投稿を行ったりすることによって注目を集めて、その情報を拡散し、ブランドの毀損や攻撃者の主張のPRを行うケースが後を絶たない。

【対策1】

 なりすましアカウントを発見したら、まずはSNSの運用会社に対応を申請することだ。Twitterならサポートセンターから申請して対応を要請できる(図5)。

Twitterのなりすましアカウント報告画面
図5 Twitterのなりすましアカウント報告画面(Twitter)

 また、Facebookの場合もヘルプセンターから「なりすましアカウントを報告」できる(図6)。

Facebookのなりすましアカウント報告画面
図6 Facebookのなりすましアカウント報告画面(Facebook)

【対策2】

 なりすましアカウントの存在と、投稿内容などが自分や自社とは関係がない旨をできるだけ早く、広範に伝わる形で発信する。正当なアカウントでの投稿やWebページへの掲載などが利用できる。一方で「友達」やよく利用する相手にはなりすましアカウントのブロックを依頼しておくとよい。

 また、攻撃者やSNS運営者に向けて抗議し、意思を明確に表すことも大事だ。影響がいたずらで済ませられない場合は法的対応をとることも考えたい。民事訴訟を起こして名誉毀損や逸失利益への損害賠償請求を行うことができようし、偽アカウント作成に関しては電磁的記録不正作出罪あるいは不正アクセス禁止法による刑事事件として告発できる可能性がある。

【対策3】

 個人、組織、商品などについて「エゴサーチ」を常時行い、問題のある投稿がないかをチェックする。簡便なエゴサーチの方法はGoogleアラートが効果的だ。指定キーワードに関連する最新のGoogle検索結果がメールで配信される。

 また。TwitterとFacebookは、Yahooの「リアルタイム検索」が使いやすい。指定キーワードに関連する過去1カ月分の投稿が一覧できる(図7)。 なお、マーケティングなどに利用される「ソーシャルメディア分析サービス」も有効だ。

Yahooの「リアルタイム検索」の例
図7 Yahooの「リアルタイム検索」の例(Yahoo)

従業員の不適切投稿への対策

 2013年は、飲食店従業員の不衛生な行為を写真撮影してSNSに投稿し、経営に重大な損害を与えた事件が立て続けに起きて耳目を集めた。その一方、あまり話題にはならないが法律知識や業界での規制、慣例などを知らないために起きた不適切投稿もある。

 例えば、健康食品メーカーの社員が食品の効能をPRしたり、証券会社の社員が特定商品のよしあしについて発言するといった行動だ。個人投稿といえども所属組織が責任を問われる場合もあるので、不用意な投稿は厳に戒めたい。

 また、ある自治体が委託した「ゆるキャラ」のSNS運用では、過激な発言で炎上を繰り返すことで注目を集めて人気を呼んだものの、やがて自治体の利用目的とはかけはなれた発言が目立つようになり、その内容が社会的に指弾されてアカウントを停止する結果になった例もある。目的に沿って、内容を点検する運用体制が必要だ。

【対策1】

 組織アカウントでのSNS利用ガイドラインを作成し、セミナーや勉強会などで周知徹底を図るのが効果的だ。ガイドラインを作成した上で実際のケーススタディーを行って、事例を従業員間で共有できるようにQ&A方式で演習するような研修方法で成功した企業もある。

 組織と運用者の関係を明確にし、不謹慎な発言や批判的、差別的な発言を禁止しつつ、他のユーザーからの反応に対しては誠実、公平に対応できるように指導することが大切だ。

 ただし、ガイドラインが順守されているかどうかのチェックは難しく、また、個人の利用では事実上取り締まることができない場合も多い。少なくとも企業内では前述したような組織内SNS運用ツールを用いて利用ポリシーを強制的に順守させることを考えたい。

 セキュリティ対策ツールの中には複数のSNSに対応する「プライバシー設定チェック」機能や、SNS投稿中のURLリンクの安全性を評価し、危険なものをブロックする機能を持つものがある。こうした機能を活用することも安全につながる。

 以上、SNSの危険性と対策について紹介した。SNSのデメリットばかり強調したようだが、実際にはSNS活用が企業生産性に寄与する部分は大きい。できるだけ危険を抑えこみ、上手な利用を図りたい。

 なお、今回の記事ではNPO日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の「SNSの安全な歩き方」を参考にした。関心を持たれたら一読をおススメする。

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