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脱Windowsなるか? Windows Server 2003の行方すご腕アナリスト市場予測(1/4 ページ)

2015年7月14日に迎えるWindows Server 2003のサポート切れ。Windows Server 2012に移行か、別の選択肢か。その最適解とは?

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アナリストプロフィール

入谷 光浩(Mitsuhiro Iriya):IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ シニアマーケットアナリスト

官公庁向けの将来需要予測や技術動向調査、ソフトウェアを中心とした市場予測や競合調査、ユーザー需要動向調査などを経験後、IDC Japan入社。インフラストラクチャソフトウェア担当アナリストとして関連市場を調査。専門の分野とテーマは、システム/ネットワーク管理ソフトウェア、オペレーティングシステム、仮想化ソフトウェア、クラスタリングソフトウェア、オープンソースソフトウェアなど。電機、電子関連の新規事業企画、開発の経験も有する。


 Windows XPの延長サポート終了を目前に、企業システム部門はクライアントOSの移行作業に大わらわのことだろう。だが、その先にはさらなる難題が待ち構えている。

 Windows Server 2003のサポート切れだ。2015年7月14日がその期限となっており、残された期間は1年半もない。いまだに企業の約68%が利用を続けているWindows 2003上のシステムの今後を決めるのは、まさに今。

 最新のWindows Server 2012/R2へのアップデートか、Linux系OSへの乗り換えやクラウドへの移行という新たなチャレンジか? はたまた旧OSの延命策?次世代のシステム最適化のために、今とりかかるべきことは何かを考えてみよう。

企業の約7割が旧OSのサーバを利用し続けている実態

 Windows XPの延長サポート終了(2014年4月9日)に伴うクライアントOS移行や刷新の作業が大詰めを迎えているが、その次に控えるWindows Server 2003のサポート切れへの対応もすぐさま手をつけなければならない大きな課題だ。

 企業のx86系サーバの台数は2013年上期の調査で約224万台だが、そのうちWindows 2003以前のサーバOS搭載機は約36万4000台とみられ、約16%を占めている。台数ベースで見れば少ないようだが、企業数ベースで集計すると、Windows Server 2003がいまだに68.3%も現役で使われており、2010年に延長サポートが終了しているWindows 2000 Serverさえ、2割近い企業が利用している状況だ(図1)。

企業で使用しているサーバOSの種類
図1 企業で使用しているサーバOSの種類 ※複数回答。利用率が高い上位10種類のOSを示す。Source:IDC Japan, February 2014(出典:IDC Japan)

 この調査結果からは、社内の多くのサーバがWindows Server 2008以降やその他のOSに移行している一方で、数台の旧OSのサーバを残している企業が多いと考えられる。

なぜ新OSへの移行が進んでいないのか?

 なぜ古いサーバOSが使い続けられているのだろうか。その最大の理由は、アプリケーションの新OSへのマイグレーションが難しいことに起因する。パッケージアプリケーションをそのまま利用している場合なら、ベンダーが新OSリリースの都度対応版を提供してくれるため、既に移行を済ませている企業が多いはずだ。

 いまだに残っているのは、自社開発、またはパッケージアプリケーションであっても追加開発など大きなカスタマイズを行ったもの、あるいは自治体向けパッケージのような業務特化型アプリケーションがほとんどだろう。新OSへの対応のために自社の手で改修する必要があり、そのコスや時間がネックになっている。

 考えてみれば、これはいつか来た道ではなかっただろうか。Windows Server 2008リリースのタイミングで一度は移行を検討した企業が多いばずだ。それでも残ったWindows 2000 Serverや2003は移行が困難だったものばかりに違いない。

 Windows Server 2008は、それまでのOSの流れを一新するようなカーネル変更を伴うものだっただけに、アプリケーション改修の工数が多くなりがちだった。いずれ問題になることは分かっていても、難しい部分を先送りする形で問題箇所を一部に残しながらOS移行プロジェクトが進められていたが、その間にリーマンショック、続いて大震災が起きた。

 企業経営が大きな打撃を被るなかで、移行プロジェクトが棚上げにされ、復活できないままに時間が過ぎてしまった企業も多いだろう。

 一時的な対応として「使える限りは現状のサーバを使う」企業もあったし、「保守期限が切れたハードウェア上のサーバは仮想化して新しいOSのハードウェアに乗せ換える」企業もあった。しかし、そうした対応が例えば5年先でも通用するのかどうか、よく考えるべき時に来ている。

 辛うじて延命してきたシステムを見直すよいきっかけになるのが、今回のWindows Server 2003のサポート終了なのだ。これ以上問題を先送りせず、新たな移行プロジェクトを立ち上げるための好機と考えるべきではないだろうか。

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