脱Windowsなるか? Windows Server 2003の行方:すご腕アナリスト市場予測(3/4 ページ)
2015年7月14日に迎えるWindows Server 2003のサポート切れ。Windows Server 2012に移行か、別の選択肢か。その最適解とは?
Windows Server 2012、2012 R2への移行
最有力な選択肢は、最新のWindows系列のサーバOSであることは間違いない。他OSへの移行に比べればアプリケーションの移行が容易であると同時に、利用ミドルウェアや管理システムがそのまま利用できる可能性も高い。運用管理体制を大きく変更することもなく、教育やトレーニングの手間も最小限にできそうだ。
そう考えると、今移行対象としてまず考えるべきはWindows Server 2012/2012 R2のどちらかということになるだろう。Windows Server 2008は延長サポート終了が2020年1月までだが、2012の方の延長サポートは2023年1月までだ。2003からの移行コストはどちらも相応にかかるので、どうせコストをかけるなら、最新の機能を備えて寿命の長い方を選ぶのが当然だ。クライアントOSではXPから最新の8ではなく、7を選ぶ理由もあったが、サーバOSではあえて古い2008を選ぶ必然性はない。
しかも、移行にかかわるこれまでとは異なる利点もある。仮想化ツールの「Hyper-V」標準搭載だ。Windows Server 2012 Standardエディションでは2つまでの仮想インスタンスが利用でき、Datacenterエディションでは無制限に仮想インスタンスが作れる。
アプリケーション移行の際には、必ず旧OS上でアプリケーションを稼働しながら、その改修を並行して行うことになる。古いシステムを仮想化して新しい2012サーバに搭載すれば、システム利用をそのまま続けながら、もう1つの仮想サーバで改修を行うことも可能になるわけだ。
クラウドサービスへの移行
次に検討したいのが、クラウドサービスへの移行だ。クラウドサービスにはIaaS、PaaS、SaaSの種別があり、現在はそれぞれにさまざまな業者による多様なサービスが選択できる環境にある。
その中でも、従来の運用と懸け離れないものを選ぶとすれば、PaaSの1つであるWindows Azureの利用が間違いなくベストな選択だ。これまでと同様に、Active DirectoryやVisual Studio、SQL Server、SharePointといったマイクロソフト製品とシームレスに適合し、SystemCenterによる物理環境とクラウド環境の統合管理も容易に実現できる。
OSのバージョンアップもユーザー企業の側は気にする必要がなくなる。さらにマイクロソフトは2014年6月にAzure用のデータセンタを国内2カ所にオープンすることを公表しており、従来は懸念があったデータ所在地のカントリーリスクも解消される可能性が見えてきている。
一方、IaaSはOSを問わずx86サーバの機能を使えるサービスが多いので、こちらはOS選びというよりオンプレミスかクラウドかの選択を行うということになる。また、SaaSへの移行は、既存のアプリケーションを乗り換えることになるので、移行先の慎重な見極めが必要だ。
一般的にクラウドに移行しても業務に影響が少ないものはメールやグループウェア、マーケティング分析系やCRM系のアプリケーションだ。開発環境をIaaSやPaaSに移行するケースはかなり多い。また最近ではバックアップをクラウド化するケースも増えてきた。
いずれにしろ、コアな業務に関連するものでなく、その周囲のシステムの移行先として考えやすい。クラウドサービスへの移行を考えるときは単純にサーバ全部を移行するのではなく、極力オンプレミス環境を減らすことを念頭にしながら、業務に影響が少ないサーバを選んで実行するとよい。
なお、クラウドサービスに移行する利点の1つにモバイルからの利用に親和性が高いことも見逃せない。アプリケーション開発の世界では「モバイルファースト」がキーワードになっているように、これからのアプリケーションはモバイルからの利用を考慮すべきだ。クラウドサービスへの移行はスマートフォンやタブレットの利用をはじめとするモバイルワークをさらに進める契機になる可能性がある。
ただし、注意したいのは利用料金だ。オンプレミスなら構築時に大きな投資でランニングコストは低いのだが、クラウドサービスはその逆で、利用当初のコストは小さいものの、月単位、時間単位、年単位、利用するデータ量やトランザクション単位、ユーザー数など、業者によりさまざまな体系で利用料金が定められており、ほとんど全てがランニングコストになる。従来よりも明確なコスト管理が必要だ。
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