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サーバ仮想化、中堅中小企業の楽々導入術IT導入完全ガイド(1/4 ページ)

サーバ仮想化の国内大手の導入が一巡する中、中堅中小企業にも広がりを見せる。スモールビジネスでもコスト削減が可能になった現在、導入のポイントや陥りがちな落とし穴について詳しく紹介する。

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 今ではすっかり一般的な技術として受け入れられているようにみえる「サーバ仮想化」だが、そもそもサーバの数が限られる中堅・中小企業ではサーバ集約効果が必ずしも大きくなく、また従来とは異なる管理手法への対応に不安を感じて導入をためらうケースも多い。しかし、スモールビジネスでもサーバ仮想化によりコスト削減や可用性向上にめざましい効果を上げる事例が増加中だ。今回は、中堅・中小規模のシステムでメリットを感じられるサーバ仮想化の導入法を考えてみよう。

「サーバ数が少ないので仮想化による集約効果が出ない」本当に?

 サーバ仮想化ツールは「vSphere」(ヴイエムウェア)と「Hyper-V」(マイクロソフト)が双璧をなし、「XenServer」(シトリックス)、「KVM」(Red Hatなど)、「Oracle VM」(オラクル)などが比較的ニッチな領域で利用されている。ここでは中堅・中小企業がこうしたツールを導入するに当たっての不安や悩みについて考えてみよう。

 IDC Japanの調査によると既に国内大手企業での仮想サーバ導入率は84.1%にのぼり、2011年以降は中堅・中小企業にも普及が始まった。従業員100〜499人の企業では2010年までに36.9%、2011年〜2013年には46.2%がサーバ仮想化を実施している。

 ただし、仮想化の対象となっているのは基幹系以外のシステムが大部分で、システム台数は「1台から10台程度」が57.7%(「仮想化技術導入の満足度、運用の課題と展望」ヴイエムウェア/ZDnet、2013年)で、中堅・中小企業での導入はまだ一部にとどまると見てよさそうだ。

 普及がまだ進んでいないのは、そもそもサーバ数が少なく集約しても投資効果が不明確に思われるところに原因の1つがある。しかし本当にそうだろうか。実際には次のように大きな効果を挙げているケースが増えている。

事例1

 ある英会話スクールでは事業の成長に伴い増え続けるサーバ台数がコストを圧迫していた。そこでサーバ仮想化を導入したところ、物理サーバを80台から5台にまで削減できた。データセンターの契約ラック数も8本から3本に減らすことができ、物理サーバの運用管理コストは2分の1になった。また、老朽化サーバのリプレースで保守作業負荷が軽減し、さらにシステム構築が簡単なので新サービスの投入が迅速化した。

事例2

 あるカレー専門店チェーンではデータウェアハウス、EDI、ドメインコントローラーなどが稼働している14台のサーバを仮想化して物理サーバ3台への統合を実現した。その結果、TCOは50%以上削減、冗長化による高可用性の確保、コストを抑えたバックアップ環境やテスト環境の構築、ダウンタイムを最小限に抑えた安定運用が実現できた。

 成功ケースを見れば、必ずしもサーバ集約による直接的な効果ばかりがメリットではないことが分かる。仮想化は、より短期間のシステム構築、バックアップや保守の合理化、運用管理工数削減、可用性の向上といったさまざまなメリットのトータルで価値判断すべき技術なのだ。

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