小型化や寿命の延び、「UPS」5つの進化:IT導入完全ガイド(3/4 ページ)
大震災から3年、電力不安からUPSの見直しや新規導入した企業は多いが、そろそろ保証期間が終わる。次の一手としてどんなUPSが登場したのか。小型化や寿命の延び、電源管理など「5つの進化」に迫る。
容量クラスを選定しよう
UPSの機種選定は、次のような順番で考えるとよい。
- 瞬断(10ms以下)を容認するか否か
- 電源容量が十分か
- バックアップ運転時間は十分か、
- 出力波形は正弦波か、矩形波か
(1)は、給電方式を決める条件になる。常時インバータ方式は無瞬断なので何にでも使えるが、消費電力が比較的大きく、価格も高めだ。常時商用給電方式やラインインタラクティブ方式は10ms程度の瞬断が生じるが、実際は10msの瞬断があっても安定稼働できるIT機器が多い。ミッションクリティカルな業務サーバでは常時インバータ方式を選ぶべきだが、一般用途ならそうこだわらなくてもよさそうだ。
(2)は、UPSに接続する機器の定格電力を足し算して求めた値よりも大きくなければいけない。安心のためには定格電力の総和がUPS容量の80%くらいにするのが望ましい。
(3)は、全ての接続サーバやクライアントのOSの終了処理が終わるまでの時間(5分〜数十分程度)のバックアップ運転が必要となる。可能なバックアップ運転時間は使用電力や機種の特性によって異なるので、これはカタログ等で確認しておく必要がある。終了処理に十分な時間が確保できる機種を選ぶべきだ。
(4)は、最近のPCの主流になってきたPFC(Power Factor Correction:力率改善回路)電源搭載機器の場合に問題になる。PFC搭載機の多くが正弦波を前提にしており、矩形波は保証外なので、事情が許せば正弦波出力の機種を選ぶ方が無難だ。
コラム:「こんなはずじゃなかった」サーバカスタマイズで容量不足に
最初は十分な容量、バックアップ時間だったはずのUPSが、サーバのスペック拡張で消費電力が上がり、いざというときに役に立たないこともある。サーバ機は「素」の状態で購入すること自体あまりなく、CPU個数、コア数、メモリ量、HDD数や容量、拡張カード類などを増やせばどんどん消費電力が上がる。いつの間にか当初のカタログ定格電力値の2〜3倍になっていても不思議はない。そんなケースを見込み、サーバの拡張を見込んだ容量のUPSを選ぶことが大事だ。
電力を表す単位「W」と「VA」
UPSカタログでは電力にW(ワット)とVA(ボルトアンペア)のどちらか、あるいは併記が用いられている。VAは皮相電力のことで、「電圧×電流×力率」(力率は交流電力の効率)。次の換算法を覚えておこう。
- VA表記のときはW=VA×力率
- W表記のときはVA=W÷力率
力率はカタログなどに記されている場合が多いが、古いサーバで0.6、最新のサーバで0.8〜0.9といったところだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.