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海のうねりが電力を生む「海流発電」とは?5分で分かる最新キーワード解説(3/4 ページ)

黒潮などの巨大海流を発電エネルギーとして利用する「海流発電」。70%の設備利用率が期待できる新世代の発電技術に迫る。

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海中での姿勢を安定させるダブルプロペラ構造

模型水槽試験
図5 模型水槽試験。タービン2基を連結して安定性を確保する(出典:東京大学大学院新領域創成科学研究科高木研究室)

 海流は一定で安定しているとはいえ、微妙に速度も方向も変化する。1点で係留する水中浮遊式では、流れ方向の変化に吹流し効果で追随して発電ユニットの位置を変えられる。しかし、海中に浮遊した状態でタービンを回転させると、タービンの回転トルクで発電ユニット自体が回転してしまい、係留索が捻じれてしまう。

 そこで発電装置は2基を連結して1組とし、プロペラは互いに逆回転するようにした(図5)。こうすることで、タービンの回転トルクも相殺し、安定した姿勢を保てる。これらの構成によって効率的に発電できるようになった。

水圧や荷重に耐える強靭な構造

 想定する設置水深は水面下約50メートルだ。水圧に耐えながら海流を受け続けるためにはプロペラも発電機も堅牢で強靭な材質や構造でなければならない。発電機の容器には鉄製の圧力容器が用いられ、プロペラにはFRP(繊維強化プラスチック)などの丈夫な材質が使われる。東芝やIHIは原子炉開発にも携わっており、風力発電にも造詣が深いので、ノウハウが十分に活用されそうだ。

腐食や海中生物の問題

 海中で長期間稼働するためには、まずは腐食を防がなければならない。これには耐腐食性の高い塗料を用いた上、電気防食技術を利用することが考えられている。船舶、メガフロートや洋上石油貯蔵/積載設備などに経験を積むIHIの技術が生かされるだろう。なお、フジツボなどの付着、魚などの海中生物の衝突なども想定する必要がある。実証実験の結果を踏まえて、必要があれば対策が研究されることになりそうだ。

海底へのアンカー固定と係留索

 強い海流の中でも発電機をつなぎとめるアンカーは、海底油田の採掘設備に利用される設置技術などが流用できる他、メンテナンスには海中で観察および作業ができる海中ロボットの利用も想定する。また、係留索には、水に浮くほどの軽量で強度の高い高分子(樹脂)材料のロープが使われる。

送電線と集中制御システム

 送電線は、制御用の通信回線とともに海底に埋め込まれることになる。まだ設置する海域の候補は決まっていないが、大規模発電ファームは海岸から数十キロのところに設置することになりそうだ。

 ケーブルの敷設には海底光ケーブル敷設などで使われる技術がそのまま利用できる見込みだ。発電システムは全てセンターで集中監視、制御を可能にする一方、各装置が自律的に姿勢制御などを行えるように個別に自動制御システムを備えることになる。

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