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IEEE 802.15.8を先取り、実証が始まったネットワーク自動構成技術「PAC」とは?5分で分かる最新キーワード解説(2/4 ページ)

中央制御装置なしで端末同士がネットワークを自動構成する「PAC」が登場した。IEEE 802.15.8規格の標準化を目指した動きに注目する。

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バスが乗客とともに「情報」を運ぶ

 情報通信を行う端末として、個人が持つ携帯端末、バス内や停留所近辺の施設などに設置されるバス内/屋内情報端末が実験用に開発された。また、温度や湿度、照度などの局所的気象情報を測定し、その情報を送信するセンサー端末も要所に配置される。

 これらの端末は電波産業会標準規格ARIB STD-T108およびIEEE 802.15.4g(Zigbeeの物理層の仕様)に準拠した送受信用チップを内蔵し、NICT独自開発のMAC層を搭載した通信モジュールとアンテナ、位置測定用のGPSを備える。また、携帯型の端末ではGPSの他、ユーザー認証用のNFCリーダーも装備した。

バス内情報表示端末
図2 バス内情報表示端末(左)、屋内設置用情報表示端末(中央・右)の外観の例(出典:NICT)

 携帯端末は、タブレット型とスマートフォン型の独自OS端末が試作された(図3)。画面は電子ペーパーで省電力設計だ。タブレット端末は情報入力と発信を行うことも想定する。

タブレット型とスマートフォン型の携帯端末の例
図3 タブレット型とスマートフォン型の携帯端末の例(出典:NICT)

 全端末で使用する周波数帯は900MHz帯(実用時は920MHz帯を予定)だ。これは携帯電話でいう「プラチナバンド」と同様の伝搬特性を持つ帯域で、電波が障害物の影響を受けにくく、安定した通信が期待できる領域だ。

 この周波数帯では電波法上、無線局免許を持たずに通信できる送信出力として20ミリワットのものと簡易無線局免許で通信できる送信電力として250ミリワット等の種類が選べる。

 アンテナが内蔵されるスマートフォン型の端末は20ミリワット出力で数メートルから数十メートル、アンテナがケースの外側やバスの屋根上に設置される屋内およびバス内情報端末は同じ20ミリワット出力で数十メートルから数百メートルの範囲をカバーできるようにした。

 さらに広いエリア間で通信するために、太陽電池による電力供給が可能なビル屋上設置型の端末は250ミリワット出力仕様とした。これによれば見通しがあれば4〜5キロの範囲での通信が可能で、都心部から臨海部の埋め立て地である台場地区間を結べる(図4)。

バス路線地域内の学校施設に設置されたアンテナ
図4 バス路線地域内の学校施設に設置されたアンテナ(左)、通信装置(中央)、太陽電池システム(右)(出典:NICT、港区立お台場学園)

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