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「ネットワーク仮想化」はココに効く、課題解決に役立つ導入法IT導入完全ガイド(2/4 ページ)

一般企業での導入例も見えてきたネットワーク仮想化。しかし、複数方式が並立し、コスト効果が分かりにくく、導入をためらっていないか。事例を基に紹介する。

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【事例2】OpenFlowベースのSDN化でベンダー依存を避けながらL2網の課題を解決

 総合物流会社のB社は経営基盤強化を目的にしたプライベートクラウドの構築に取り組んでいたが、インフラ構築にかかる約2カ月の時間と、ネットワーク変更を構築ベンダーに依頼して1回に約100万から200万円かかるコストに悩んでいた。また、従来機器はコアスイッチだけでラック24Uものスペースを占有し、その消費電力コストの負担も課題とされていた。

 ベンダーとSIer依存の運用ではコスト課題が解決できないと考えたB社は、OpenflowをベースとしたSDN製品を導入した。その結果、インフラ提供までのリードタイムの期間短縮(約10日に短縮)と、社内スタッフによるネットワーク変更が可能になり、さらにラックスペースを半分以下、電力削減も実現してハウジング費用が大きく削減した。

 プライベートクラウド構築に際して同社が避けたかったのがベンダー独自技術によるソリューション導入で生じがちなベンダー依存だ。自社主導で構築、運用管理が可能でオープンな方式で、しかも上述のようなL2ネットワークの課題を解決する方式として選んだのが、Openflowをベースに開発されたSDNプラットフォームだった。

 この導入事例は2011年のことで、世界初のSDN本格導入例とされ、日本のSDNへの注力の度合いを示す例としてもメディアにもよく登場した。ポイントは、仮想サーバの追加などのシステム変更はごく短期間に行えるのに対し、ネットワーク変更に月単位の期間が必要とされていた部分をグッと短縮したことだ。

 仮想化技術の進展に追従できていなかったネットワークが、仮想化により柔軟性と迅速な構築においてサーバ環境と同じような能力を獲得したことを示す事例だ。B社は標準装備のGUI管理ツールでの構成可視化などによる運用性にも満足している。

 もっとも現在のところSDNは未成熟な部分が多々あり、OpenFlowも本来期待されるベンダーフリーの機器構成が自由にできるところまでは行き着いていない。将来の技術発展と普及を見越した導入が始まっている段階だ。

 この事例では仮想マシン約500台を対象とし、OpenFlowスイッチ22台(メインサイト12台、バックアップサイト10台)、OpenFlowコントローラー4台(メインサイト2台、バックアップサイト2台)を利用した。スイッチは全てOpenFlow対応のものを採用し、データはスイッチ間をホップバイホップ方式で流れるため拡張性に優れるとともに標準化した運用手法で管理可能にしたところが1つのポイントだ。構築コストは従来とさほど変わらないが、運用管理コストは5分の1にまで削減できた。

 この方式の他、既存のネットワークはそのまま、ネットワークのエッジスイッチ間をトンネル技術(VXLANやNVGREなど)で結び、そのトンネル終端のスイッチだけがSDNコントローラーと制御情報を交換する「オーバレイ方式」をとることもできる。そのスイッチだけをOpenFlow対応機種にリプレースすればよい。構築コストはあまりかからず、L2ネットワークの課題は解決できる。

 ただし、運用管理負荷は従来通りという面がある。また大規模ネットワークでは一斉にどちらかの方式をとるのではなく、両方式をハイブリッドに組み合わせて利用することも可能だ。

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