Windows Server 2003のEOSが契機に、中堅・中小企業クラウド活用:すご腕アナリスト市場予測(1/4 ページ)
Windows Server 2003のサポート完全終了まであと10カ月、この節目に中堅・中小企業が検討すべきクラウド活用について徹底検証。
アナリストプロフィール
岩上由高(Yutaka Iwakami):ノークリサーチ シニアアナリスト
早稲田大学大学院理工学研究科数理科学専攻卒業後、ジャストシステム、ソニーグローバルソリューションズ、ベンチャー企業などでIT製品およびビジネスの企画、開発、マネジメントに携わる。ノークリサーチでは技術面での経験を生かしたリサーチ、コンサルティング、執筆活動を担当。
Windows Server 2003のサポート完全終了は2015年7月15日、期限まで残り1年を切る状況となった。先般のWindows XPからの移行もあって、相次ぐサポート完全終了の対策に苦慮されている情報システム部門や担当者の方々も少なくないだろう。
サポート終了対策においては「とにかくコストを抑え、必要最小限の対策を講じる」というのも1つの選択肢ではあるが、「避けられない対策であるならば、少し先を見据えた取り組みをしよう」と前向きに捉えてみることも大切だ。
今回はWindows Server 2003のサポート完全終了という節目を通じて、中堅・中小企業が検討すべきクラウド活用について考えてみたい。
Windows Server 2003のサポート終了対策は比較的順調に進んでいる
まずは現状を確認しておこう。以下のグラフは年商5億円以上〜50億円未満の中小企業層と年商100億円以上〜300億円未満の中堅中位企業層のそれぞれに対し、Windows Server 2003の残存状況を尋ねた結果である(2014年7月時点で実施したアンケート調査結果)。
いずれの年商帯においても「既にWindows Server 2003からの移行を全て完了している」の回答割合が4割に達している。Windows XPのときとは違い、Windows Server 2003からの移行については比較的順調に進んでいる状況といえる。
しかし、今回の移行先がWindows Server 2008/2008 R2、Windows Server 2012/2012 R2のいずれであったとしても、数年後にはまた同じようにサポート終了期限が訪れる。その都度ハードウェアも含めたサーバ環境をゼロから構築するとなると、中堅・中小企業の多くは数年ごとに重い負担を強いられることになる。OSのサポート終了対策における負担をもう少し軽くする手だてはないのだろうか。
サーバ仮想化活用に見られる変化の兆し
この問いかけへのヒントを示しているのが以下のグラフである。先ほどと同様に中小企業層と中堅中位企業層のそれぞれに対して「Windows Server 2003のサポート終了対策として、既に実施済みまたは実施予定の取り組み」を尋ねた結果である。
図2 Windows Server 2003のサポート終了対策として実施済みまたは実施予定のもの(幾つでも)(出典:「2014年 中堅・中小企業におけるWindows Server 2003からの移行に関する実態レポート」)
「新しいWindowsサーバOSが稼働する社内設置サーバへ移行する(仮想化なし)」は旧来のように、ユーザー企業が所有する物理サーバ上にWindowsサーバOSをインストールして稼働させる形態を指す。
一方で、「新しいWindowsサーバOSが稼働する社内設置サーバへ移行する(仮想化あり)」はユーザー企業が所有する物理サーバ上に「VMware ESX」や「Hyper-V」などによるサーバ仮想化環境を構築し、その上でWindowsサーバOSを稼働させる形態である。
グラフが示すように、Windows Server 2003からの移行先についてはいずれの年商帯においても「仮想化なし」に比べ「仮想化あり」の回答割合が高くなっている。つまり、「単にWindows Server 2003から移行するだけでなく、併せてサーバ仮想化環境の構築に取り組んでいる」という中堅・中小企業が少なくないわけだ。
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