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急成長するエンタープライズ向け「フラッシュストレージ」最新動向IT導入完全ガイド(2/4 ページ)

データ通信速度が高速化する中、HDDではなかなかI/O速度が追い付かない。そんな弱点を解消するフラッシュストレージの根幹をなすフラッシュメモリの種類や比較、製品群の特徴や導入事例などを解説する。

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フラッシュストレージの種類

 ここでフラッシュストレージの種類を分類していこう。

サーバサイドフラッシュ

 サーバ内のPCIe(PCI Express)ポートに直接接続する、ボード型のフラッシュストレージ製品。「ホストフラッシュ」と呼ばれることもある。サーバ内のPCIeポートに直接接続するので、他のサーバとの共用はできない。

オールフラッシュアレイ

 ストレージアレイ内の記憶装置が、全てフラッシュメモリで構成されたフラッシュストレージ製品。

ハイブリッドアレイ

 ストレージアレイ内の記憶装置が、フラッシュメモリとHDDの混在状態で構成されたフラッシュストレージ製品。HDDと混在することでオールフラッシュアレイよりもデータ容量を増やせる。

 この他に、オールフラッシュアレイやハイブレッドアレイには、フラッシュストレージユニットやモジュールを拡張して容量を増やせる「スケールアウトフラッシュストレージ」と呼ばれるタイプの製品もある。

PCIe SSDIBM FlashSystem 840 図1 サーバサイドフラッシュ製品の「PCIe SSD」(出典:富士通)、オールフラッシュアレイ製品の「IBM FlashSystem 840」(出典:日本IBM)
Violin 6000シリーズnimble storage 図3 オールフラッシュアレイ製品の「Violin 6000シリーズ」(出典:Violin)、図4 ハイブリッドフラッシュアレイの「nimble storage」(出典:東芝)

コラム:フラッシュストレージの実装の違い、SSDと独自設計

 フラッシュストレージにフラッシュメモリを実装するとき、製品内にSSDを内蔵する場合と独自設計のフラッシュメモリモジュールを内蔵する場合がある。

 SSDもフラッシュメモリで構成され、基本的にフラッシュストレージの一形態だ。その特徴は、HDDと互換性を保った仕様であるということ。筐体のサイズやI/Oの仕様などもHDDと同一で、そのためにフラッシュメモリが持つ性能を十分に発揮しない。その代わりにHDDとそのまま差し替えられ、容易に換装できる他、フラッシュストレージに実装する場合も手間がかからない。

 一方、独自設計のフラッシュモジュールの場合は、ベンダーが独自技術を採用した設計を施すことが可能となる。それによって、フラッシュメモリのI/Oに最適化されたコントロールチップを搭載したり、フラッシュモジュールレベルでRAID機能を搭載させたりと、フラッシュメモリの機能を存分に発揮できる形での実装が可能となる。

IBMのオールフラッシュストレージに採用されているフラッシュモジュールの概要図
図5 IBMのオールフラッシュストレージに採用されているフラッシュモジュールの概要図(出典:日本IBM)

コラム:製品ごとの性能差はコントローラーの差?

 フラッシュメモリをストレージとして成立させるには、メモリチップの動作をつかさどる「コントローラー」が必要だ。コントローラーからの指示によって、フラッシュメモリ上でのデータ消去操作(ガベージコレクション)や、データを書き込みする際のデータ量単位(512B〜4kB)などが調整される。

 コントローラーのアルゴリズムや実装方法がベンダーによって異なる。フラッシュメモリモジュールにCPUを搭載してソフトウェアでコントローラーを実装して制御するベンダーもあれば、コントローラーをハードウェア化して搭載し、制御に利用するベンダーもある。また、コントローラーの性能によって、フラッシュメモリの寿命を延ばすことも可能だ。

 横ならびに見えなくもないフラッシュストレージ製品は、内部コントローラーでの微妙な処理の工夫によって、ベンダーごとの性能差が生じるのだ。コントローラーの性能こそが、ベンダーとエンジニアの「腕の見せ所」ということになるだろうか。

使用条件によって変化する性能・寿命
図6 使用条件によって変化する性能、寿命(出典:SNIA-J)

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