無線LAN利用の最適解、高速化と高密度化がもたらす弊害は?:IT導入完全ガイド(1/4 ページ)
モバイルデバイスのビジネス活用により需要急増の無線LANだが、「切れる」「遅い」「つながらない」との苦情も増えた。端末の高密度利用環境を整備する絶好の機会に考えたい、無線LAN活用の最適解とは。
スマートフォンやタブレット、モバイルPCは社内で増加の一途だ。オフィスでの利用端末から有線LANインタフェースがなくなるケースも増え、かつては有線LANの添えもの的位置付けだった無線LANが業務現場の主役になった。
それに伴い「切れる」「遅い」「つながらない」との苦情も増え、アクセスポイント(AP)を増やしても解決するどころか、さらに問題が拡大することもある。IEEE 802.11ac対応機器が続々登場する今こそ、無線LAN端末の高密度利用環境を整備する好機だ。今回は高密度利用環境でのユーザーの「不満」をカギに、最新無線LANがどう課題を解決するかを紹介していこう。
無線LAN AP以外にコントローラーが必要なワケは?
モバイルノートPCとスマートフォン、タブレットと、利用端末は1人3台といわれる時代になった。しかもプリンタや複合機、ネットワークカメラやストレージまで無線LANを利用する。IEEE 802.11acの登場でギガビットWi-Fi環境が理論的には実現し、既にRJ45のイーサネットポートが搭載されないノートPCも登場した。これからのオフィスネットワークは無線LAN前提で設計されるのが当たり前になるだろう。
しかし、問題は無線LAN環境で「切れる」「遅い」「つながらない」事象が頻発するようになったことだ。これは、無線LAN端末の数とAPの数がともに増加したことと、オフィス内での端末移動が当然のワークスタイルになりつつあることに関連している。
利用端末が少ない時代にはさほど重視されてこなかった、きめ細かい管理と制御がこれからは必須になる。それには、複数APの集中管理機能を備えた無線LANコントローラー、またはその機能を代替できるタイプのAPが必要だ。
AP配置5つの方法とコントローラー配置
APとコントローラーの構成は、およそ5つの類型に整理できる。
小規模構成またはスモールスタートに有利なのは、自律型APの複数配置のみによる構成だ(図1の下段左端)。自律型APはトラフィック処理はもちろん電波の監視や制御、セキュリティなど数台規模の運用に最低限必要な管理、制御機能が全部そろい、必要になり次第APを追加できる。
ただし、導入時やAP位置の変更やAP追加の際には個別に設定を行う必要があり、将来のAP増加で運用管理負荷が高くなる可能性がある。
AP自体がコントローラー機能を持ち、1台を集中管理用のコントローラーとして機能させる製品もある(図2)。まず1台で設定を行えば、追加されるAPが自動的に設定をコピーして適切に設定する。管理可能なAP台数は5〜6台程度だが、中小〜中堅規模のオフィスや遠隔拠点での利用には好適だ。
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