店舗分析に顧客対応まで、ネットワークカメラの最新トレンド:IT導入完全ガイド(3/3 ページ)
市場拡大を続けるネットワークカメラの3つのトレンド。乗っ取りに盗撮、セキュリティの注意点や日本の「おもてなし」を支える利用法までを紹介する。
それでは、実際にネットワークカメラを導入する際、どのように選定していけばいいか、その主なポイントを整理してみよう。
使用目的を検討する
まず、ネットワークカメラをどのように使うのか、その目的を検討したい。すなわち、冒頭でも挙げたように「監視」「検知」「識別」のどの用途で使うのか、またこういった監視以外の「映像配信」に使うのかを判断する。
なお、一般的に監視→検知→識別の目的順にカメラの解像度が必要となる。前述したように、撮影対象が暗所だったり逆光だったりすると、それに応じた機能を搭載したカメラを選択する必要がある。設置場所に適応したカメラの筐体形状を選択することも必要となる。
ネットワーク帯域、ストレージ容量を確認
高精細な映像のデータ量が大きくなるのは当然だ。録画すると保存されるデータ容量は大きくなるし、ネットワークの負荷も当然大きくなる。ネットワークカメラ導入前には、社内システムに影響を及ぼさないためにもそれらについての検討が必須であるが、なかなか具体的に把握するのは難しい。
そういった場合、ベンダーからネットワークカメラの機種、台数、ネットワーク環境や運用の状況などの条件を指定するだけでどれだけのハードウェアやネット帯域が必要となるかを判別するツールが提供されているので活用したい。
管理は容易か?
ネットワークカメラによる監視は、一般的には自社の主要業務とは異なるもの。だからこそ運用に関して負担が増えることは避けたい。
ネットワークカメラ自体の管理に加え、VMSの操作や録画映像の管理などの操作が容易かどうかということは非常に重要だ。情シス部門以外のデジタルリテラシーが十分ではない担当者でも、誰もが利用できるように容易なインタフェースで管理できることが求められる。
最近では、スマートデバイスを使った管理や遠隔操作も可能となっているため、有事の際にも業務時間外に出社して映像をチェックするというような手間が省けることもある。導入前に必ずチェックしておきたいポイントだ。
拡張性について
ネットワークカメラの導入後に運用規模を拡大する可能性があるかどうかを考えておきたい。可能性があるのであれば、システムの拡張性を確認したい。ネットワークカメラシステムの多くは、ネットワークインフラさえ整っていればスイッチの追加などでカメラを追加したり、レコーディングサーバを追加したりするのは容易とされている。ただその際には社内のシステムを圧迫しない状況での拡張を心掛けたい。
また、ネットワークカメラ自体に機能(赤外線ライトや各種センサーなど)を追加したいケースもある。その場合、カメラに搭載されている拡張端子の存在も確認しておきたい。製品によってはシリアル端子(RS-232Cなど)が搭載されているものがあり、そこから機能拡張して他のハードウェアとの連携が可能となっている。
コラム:知らないうちに乗っ取られる? ネットワークカメラとセキュリティ
2014年7月にIPA(情報処理推進機構)の勧告によると、あるベンダーのネットワークカメラ製品シリーズ約5万7000台に脆弱(ぜいじゃく)性が発見された。特定のURLへアクセスすることで、認証なしにパスワードを含む内部設定情報を取得可能だったのだ。
ファームウェアの更新により脆弱性はなくなったが、場合によってはネットワークカメラが乗っ取られかねない事態だった。この事件で注意したいのは、この事例は必ずしも特殊なものではなく、ネットワークカメラのセキュリティリスクはゼロではないということだ。
そこで、無線LANルーターのようなネットワーク機器と同様の対策を行う必要がある。具体的には、不要なポートは閉じて外部からのアクセスを防ぐ。これによって撮影画像の送信のみの機能に限定できる。また、MACアドレス認証を設定してアクセスできる機器を限定することも有効だ。さらに、ネットワークカメラのシステムをインターネットから切り離して運用するような対応も有効だろう。
ネットワークカメラによる映像も、漏えいすべきでない重要なデータであることは間違いない。心して導入したいものだ。
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