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オムニチャネルの旗手となるか、「モバイルPOSレジ」大全IT導入完全ガイド(1/6 ページ)

従来型POSレジと比べて安価に利用できるメリット故に広がりを見せるモバイルPOSレジ。知っておくべきモバイルPOSレジの基本を徹底解説する。

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 2010年ごろから市場に登場し、今では小規模店舗を中心に導入が進むモバイルPOSレジサービス。従来型POSレジと比べて安価に利用できるメリットが受けて、市場は広がりつつある。そこで今回は、情報システム部門として知っておくべきモバイルPOSレジの基本について解説しながら、サービス選定の勘所を分かりやすく紹介する。

モバイルPOSレジとは?

 モバイルPOSレジとは、iPadを中心としたタブレット端末上で動作するPOSレジアプリを利用することで、専用端末である従来型POSシステムの代わりに店舗での会計業務を担う仕組みのことだ。このモバイルPOSレジが広く認知されたのは、2011年3月に発生した東日本大震災の折に、あるベンダーが現地の飲食店や小売店舗などに震災復興支援として無償でモバイルPOSレジを提供したことがきっかけだった。

 現在、日本におけるPOSシステムの出荷台数は年間12万〜14万台となっており、マーケットそのものはこの数年間は横ばいで推移する。数千〜数万円程度という安価な価格設定とタブレット端末という手軽さにメリットを感じる事業者がモバイルPOSレジを導入し、毎年サービス契約数は伸び続けている状況にある。ただし、現状は小規模店舗が中心となって導入が進み、既存POSシステムの減価償却などが終わっていない大手スーパーなどへの展開はまだこれからとみられている。

モバイルPOSレジが広がる可能性

 今は堅調な広がりを見せるモバイルPOSレジだが、カード決済を行う仕組みに大きな変革が起き始めた。今後、ますます普及する可能性を秘めている。

 まずは、2015年から米国で移行が進む「ライアビリティシフト(債務責任の移行)」と呼ばれる仕組みだ。この仕組みは、ICカード対応のPOSシステムや決済端末を導入していない加盟店で磁気カードによるカード偽造やスキミング被害が発生した場合、被害の債務責任をカード会社ではなく加盟店が負わなければならなくなるものだ。つまり、スキミングやカード偽造など不正行為が起こりやすい磁気カードからICカードを利用した仕組みへの移行が大きく進む可能性があるのだ。

 次に注目されるのが、NFCを使ったアップルの「Apple Pay」やLINEが展開する決済機能「LINE Pay」など、クレジットカードとは異なる新たな決済サービスが次々と登場していることだ。これらスマートデバイスに特化した決済サービスへの親和性は、既存POSシステムよりもモバイルPOSレジの方に分がある。

 これらの対応を進める過程で、既存のPOSシステムに変更を加えていくのか、タブレット端末を利用したモバイルPOSレジに入れ替えるのか、選択を迫られる場面も出てくることだろう。もちろん共存していくという可能性も大いに考えられる。

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