模造品を1秒で鑑定する「物体指紋認証」とは?:5分で分かる最新キーワード解説(2/5 ページ)
指紋で人物を特定するように、工業製品の表面形状で本物がかどうかを特定する「物体指紋技術」が登場した。偽物撲滅につながるだろうか。
物体指紋認証で何ができるの?
何を、どのように認証するかは、具体例を見た方が分かりやすいだろう。以下にNECのデモの模様を紹介しよう。
図1には、ボルトが8本、シャーシに取り付けられた状態(左)になっている。それぞれのボルトの頭には同一の金型に施された梨地加工と文字が転写されて浮き彫りにされている(右)。どのボルトも肉眼ではまったく同じに見えるが、実は長さの違うボルトが混ざっている。これを、物体指紋認証により、見分けてみる。
スマートフォンに、クローズアップレンズが組み込まれた専用のアタッチメントを取り付け(図2左)、ボルトの頭をアタッチメントにはめ込むようにして専用アプリで写真を撮る。その画像はクラウド上にあるボルト個品管理データベースに送信されて照合が行われ、わずか1秒で結果がスマートフォン上に表示される(図2右)。この例では、長い方のボルトであり、データベースに登録済みの正当な部品である旨が表示される。
もう1つ、例えば正規ルートで入手した製品ではない機器、あるいは模倣製品を見分ける例を見てみよう。図3左上に並んでいる機械は産業用のミシンで、この中に1つだけ非正規品が混ざっている。
先ほどと同様にして、照合対象となる部分の部品に合わせたアタッチメントを付けたスマートフォンで撮影を行う(図3右上)。データを送信すると、すぐさま結果が返ってくる。正規品であればデータベースに登録されているので、照合結果は「OK」(図3左下)であり、登録外品であれば「×」(図3右下)が表示される。
正規品であれば、その製造番号や出荷検査日、受け入れ検査日、稼働開始日、次回検査予定日などのような個品に付帯する各種の情報も、データベースから抽出して表示することも可能だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.