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2015年、激変するクライアント環境、企業の最適解は?すご腕アナリスト市場予測(2/3 ページ)

SaaSやシンクライアント導入、OS XやChromeOS、Windows10の登場など2015年はクライアント環境が激変する。企業の最適解について考察する。

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ユーザー体験の強化を目指す、PC向けOSの動向

 企業クライアントに関する2015年の話題は、今秋ごろ正式発表されるマイクロソフトの新OS、Windows 10である。多くの企業にとって、同OSを搭載した端末が次期企業PCの有力候補となるからだ。それだけではない。グーグルはChromebookで、アップルはIBMとの提携で法人市場の開拓を狙っており、彼らのOSを搭載した端末も候補となる。これら3つのプラットフォームは、一長一短である。そこで以下では、主要3ベンダーのOSを取り巻く最新状況を解説しよう。

Windows 10:Windows 7ユーザーが親しめるUIに改善、次期企業PC用OSの筆頭

 Windows 10では、モバイル利用に寄りすぎたWindows 8/8.1の反省にたち、Windows 7ユーザーを配慮したUI(ユーザーインタフェース)へと変更される。具体的には、Windows 7のスタートメニューが拡張され、最新のアプリをデスクトップ上で利用できる。

 また、1つの画面で複数のデスクトップ環境を表示できるなど、マウスやキーボードを使ったデスクワークの作業性を考慮したOSへと改善される。Windows 10はPCやタブレット、スマートフォンなど画面サイズの異なるさまざまな端末であっても利用できる予定であり、同社が掲げる「One Platform」ビジョンに一歩近づいたOSへと進化する。

 現時点で利用可能なWindows 10はテクニカルプレビュー版である。そのため、セキュリティやアプリケーションの実行環境について細かな変更点を確認することは難しい。しかしながら、Windows 7、Windows 8/8.1で実績のある機能は継承されると考えられ、これらのOS向けに作成したアプリケーションの移植も容易であると考えられる。

 Windows 7は企業PC向けOSとして大勢を占めており、Windowsが次期企業PC向けOSの筆頭候補であることは変わりないだろう。2015年1月13日には、メインストリームサポートが終了した。同OSの延長サポートは、2020年1月14日まで継続するが、企業ユーザーからの仕様変更や新機能のリスクエストの受付、無償サポートライセンスは終了している。

 2020年までには、企業の多くがPCのリプレースを少なくとも1度は経験するだろう。Window8の採用が敬遠されるなか、マイクロソフトの発表後早々にWindows 10への移行を始める企業も登場すると予想される。

ChromeOS:管理サービスとの組み合わせで法人市場を開拓

 グーグルのChromeOSを搭載したChromebook は、2014年11月から国内での発売が始まった。先行する米国では、ノートブック販売台数におけるChromebookのシェアが35%を占める時期もあり(NPDグループ調べ)、同端末の存在感が増している。

 国内でもエイサーやASUS、DELL、HPがChromebookを提供し、今後登場予定の据え置きPCとなるChromeboxも含め、企業における端末の選択肢は広がりつつある。クラウドサービスの利用に特化したChrome端末の魅力は、3〜4万円前後で発売される端末価格の安さとWindowsよりも素早く起動、終了ができるといった手軽さにある。

 しかしながら端末の利活用に関して、企業には「割り切り」が求められる。Chrome端末はネット利用を前提としたOSであるため、企業は業務アプリケーションを独自に開発して、端末にインストールさせることは出来ない。Chrome版のMicrosoft Officeが提供され、WordやExcelの編集もできるようになったが、データの保存先はマイクロソフトの「OneDrive」に限定される。

 ではChrome端末を利用できる企業はどこか。メインは、グーグルが提供するメールやオフィスソフトなど情報システムの一部として利用する企業であろう。その他、仮想デスクトップなどのシンクライアントの導入を検討する企業も候補である。シンクライアント用の操作端末として採用すれば、企業は端末の調達コストを下げることができる。

 グーグルはChrome端末の業務利用を行う企業向けに、端末管理サービス「Chromebooks for Work」を提供している。最新版の機能では、SAMLを利用したシングルサインオンに対応し、企業側がアクティブディレクトリでユーザーを管理している場合は、同サービスを利用して連携させることができる。同サービスは、永続ライセンスで1台当たり2万1000円であるが、米国やカナダでは年間ライセンスでの提供が始まっており、企業導入のハードルを下げつつある。

OS X:モバイルの連携 により、シームレスな端末利用を支援

 アップルが2014年10月に発表した最新のMacOS「OS X Yosemite」では、モバイル用OSのiOSとの連携が強化されている。アイコンをはじめとしてインタフェースの共通化が図られ、さらに、iOS端末とMacPCとの間でWi-Fiを使ってファイルを送受信したり、iPhoneで作成中のメールや閲覧中のwebページをMacPCでも継続して利用できるようになった。

 アップルは、2014年7〜9月期に過去最高の売上(421億ドル。純利益は85億ドル)を達成しており、特に好調なのはiPhoneに代表されるモバイル分野である。MacPCに関しては、大きく数字を伸ばすことに苦戦している。

 同社はIBMとの提携を通じて、企業でも人気が高いiPhone、iPadの利用を拡大させて企業向けモバイルアプリ市場の拡大を図りつつ、企業へのMacPCの浸透を狙う。米国では2014年12月から「IBM MobileFirst for iOS」サービスの提供が始まった。今回提供されるのは、航空、通信、保険、銀行、政府などの業界に特化した10本のアプリである。

 また、2014年にはiPhone、iPadを使ってMicrosoft Office製品を利用できるようになるなど、モバイルを軸とした企業向けの機能を充実させている。

 法人市場におけるMacPCのシェアは低い。しかしながら、マイクロソフトにないPCとモバイルの連携機能やモバイル主体のアプローチで、モバイルワークのユーザー体験を重視する企業やBYOD(Bring Your Own Device)を実践する企業などで利用が広がるだろう。

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