より安く、より手軽に、「クラウド型遠隔会議」のススメ:IT導入完全ガイド(3/4 ページ)
コストの安さに加え、スマートデバイスの利活用や助成金適用など企業利用が進む「クラウド型遠隔会議」。快適な会議を実現するための機能、サービス選定における5箇条を紹介する。
ここからは、遠隔会議ソリューションの中でも、特にクラウド型遠隔会議をストレスなく利用するために工夫された機能を2つ紹介しよう。
環境に応じて「音声」「画像」を切り替える、ネットワーク帯域の制御機能
クラウド型遠隔会議をストレスなく利用するためには、ユーザー企業側で十分なネットワーク帯域が確保されていることが必要不可欠だが、サービスベンダー側でも利便性を高めるために工夫を凝らしている。その代表的なものが、会議の継続を最優先に据えたネットワーク帯域の制御機能だ。
遠隔会議を維持し続けるためには、万一相手の姿が見えなくても、最低限、音声が確保できればどうにかなる。そこで会議に入る前に参加者が自分でネットワーク環境をチェックし、自身の通信環境が悪いと感じれば音声優先モードに切り替えることができる機能が提供される。
その状況は他の参加者にも見えるので、「○○さん、あなたの通信環境があまりよくないようなので、音声優先モードに切り替えてください」と注意を促したり、事前の準備をしたりできる。
また、サービス側で品質低下のアラートを出すケースもある。アラートは会議記録という形で会議終了後に見ることができるので、もしアラートが頻繁に出ているようなら、ネットワーク環境自体を見直すといった対応も検討できる。
さらにネットワーク負荷を考慮して、通常「16:9」で表示する画像サイズの端だけをカットして、画像をなるべく速く表示させるという機能を提供するベンダーもある。
250人の会議にまで対応、相手の在席状態を確認しながら会議招集
会議の最小単位は、1対1のコミュニケーションだ。そこで会議ありきではなく、まず個人間で行うコミュニケーションをよりスムーズに実現することに重点を置き、その発展型が会議だという視点に立ってサービスを提供するベンダーもある。その際に一番のポイントとなるのがコミュニケーションを採りたい相手のプレゼンス、つまりは在席状況だ。
例えば、「Office 365」のコミュニケーションツール「Office 365 Lync Online」では、まず「連絡可能」「取り込み中」「通話中」「会議中」といった相手のプレゼンスを確認し、そこから最適なコミュニケーション手段を選択できる。
このサービスは、最初は1対1のテキストチャットから始められ、最終的には最大250人の会議にまで発展できる。ユーザーはインターネット環境とWebブラウザさえあれば、簡単にオンライン会議を実現できる。
音声通話ソフトの「Skype」とも連携を図り、例えば社外の協力会社やフリーランスのパートナーがSkypeを利用していれば、彼らのSkype IDによって相互にコミュニケーションを取ることもできる。現在はまだ1対1の会話や通話が基本だが、今後はSkype経由でも会議参加できるように拡張する予定だ。
オンプレミスだが、Webブラウザがあれば会議ができる製品
オンプレミス環境に導入する形になるが、Webブラウザさえあればエンドユーザーは社内外を問わず、遠隔会議を実現できる製品が2014年10月にリリースされた。
Web会議のように利用するPCに専用プラグインをインストールする必要がなく、ChromeやFirefoxなど、Web上で動画、音声をリアルタイムにやりとりするための標準技術「WebRTC」に準拠したWebブラウザがあれば、ユーザーはどこからでも会議に参加できるというものだ。図4で紹介した「Office 365 Lync Online」やH.323準拠のビデオ会議システムとも連携可能だ。
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