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Excel属人化からの解放、やっぱり「プロジェクト管理」ツールIT導入完全ガイド(1/4 ページ)

プロジェクトを成功に導くためのマネジメント手法を駆使し、工程表作成や進捗管理が行えるプロジェクト管理ツール。基本を振り返りながら最新動向を徹底解説する。

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 特定の目標に向かって計画を立て、最適なリソースを総動員して目的を達成するプロジェクトは、大なり小なり日常的な業務のあらゆる場面で発生する。プロジェクトを成功に導くためのマネジメント手法を駆使し、工程表作成や進捗(しんちょく)管理、リソース管理を行うツールがプロジェクト管理ツールだ。今回は、プロジェクトマネジメントの管理体系について振り返りながら、Excelなどとは違う専門ツールならではの機能について詳しく紹介しよう。

プロジェクト管理ツールとは

 システム開発や新製品開発、プラント建設など何らかの目標を達成するために起案されるプロジェクト。プロジェクトには経営層をはじめ、社内の関連部署やプロジェクトメンバー、協力会社などさまざまな関係者が関わることになる。これら利害関係のある関係者を上手に調整しながらプロジェクトを円滑に運営し、全体を統制管理するための活動がプロジェクト管理(プロジェクトマネジメント)だ。

 このプロジェクト管理をシステムとしてサポートするのがプロジェクト管理ツールであり、スケジュール調整やコスト管理、リソース最適化、課題管理などの機能を備える。

 作業や計画の段取り、進行状況などの線表を作成する際には、まだ多くの場面で「Microsoft Excel」をはじめとしたスプレットシートが利用されるケースが見受けられる。工程管理に利用されるガントチャートなどは簡単に作成できるものの、自由度が高いが故にさまざまな関数を駆使して複雑な線表を作成する「Excel職人」が横行することになり、結果として属人化してしまいやすい。

 しかも、タイムリーな進捗(しんちょく)管理が難しい。進捗をメンバーに記入してもらい、その内容を集めて再入力することで進捗の更新を行うといった手間がかかってしまう。その点プロジェクト管理ツールは、プロジェクト管理に特化した専門ツールだからこそ、効率的にプロジェクト運営を行える。

 そもそもプロジェクト管理の手法やツールは、関係者同士をうまく調整するためのコミュニケーションツールといっても過言ではない。組織が複雑になればなるほど、共通の言語や基盤が必要になるはずだ。そこで必要になるのが、世界的に通用するプロジェクトマネジメントを進めるための管理体系だ。

 これまでのように社内に閉じたプロジェクト範囲であればいざ知らず、今は海外の企業とコラボレーションしながらプロジェクト管理を行う時代だ。プロジェクトそのものがグローバル化したことで、あらためて世界標準の管理体系が注目される状況にある。

 なお、プロジェクト管理ツールを利用しても、実際の管理手法や体系が理解できていないと、どこまでやるべきなのかが不明瞭となり、スムーズに使いこなすことは難しい。共通言語としてのプロジェクト管理を体系立てて理解しておく必要がある。

世界標準は何? プロジェクト管理における管理体系

 プロジェクト管理標準としての管理体系は複数存在するが、中心となるのが「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」と呼ばれるものだ。1969年に結成されたプロジェクトマネジメントの推進を行う非営利団体「PMI(Project Management Institute)」が策定したもので、「PMBOKガイド」は2012年12月に発表された第5版が現在最新のガイドだ。

 また、2012年にはプロジェクト管理の国際規格として「ISO 21500」が策定された。これは「立上げ」「計画」「実行」「コントロール」「終結」という5つのプロセスグループと「統合」「ステークホルダ」「スコープ」「資源」「タイム」「コスト」「リスク」「品質」「調達」「コミュニケーション」という10のサブジェクトグループのマトリックスで構成される。

 ただし、測定するプロセス自体の定義のみで、その手段までは規定されていない。結果としてプロジェクトマネジメントのナレッジが集まったPMBOKが実際のプロジェクトマネジメント体系として活用される場面が多い。なお、PMBOKではサブジェクトグループを知識エリアとして定義する。

 他にも、スイスに本部がある「IPMA」が標準化した「ICB」や日本プロジェクトマネジメント協会が策定している「P2M」なども存在する。

PMBOKとISO 21500の対応
図1 PMBOKとISO 21500の対応。※1:ステークホルダに該当する部分は第4版ではコミュニケーションの知識エリアに包含。※2:PMBOKガイドではプロセス名は人的資源マネジメントとなる。(出典:PM Associates Corporation.)

失敗プロジェクト激減の鍵、注目されるステークホルダマネジメント

 納期やコスト、リスク管理など、プロジェクト成功の要因として考えられることはさまざまあるが、しっかり押さえておきたいのがステークホルダに対するマネジメントだ。PMBOKの第5版から知識エリアに格上げされたものであり、ステークホルダ対応次第でプロジェクトの成否は大きく変わる。

 実際にコストや納期が当初通りにいかない場合でも、ステークホルダとの合意形成がきちんと行われていれば、そのプロジェクトは失敗とはみなされない。むしろ、納得の納期遅れになり、それは成功したプロジェクトになるわけだ。逆にコストも納期も当初通りにしたとしても、ステークホルダとの関係性が悪化すれば、成功したプロジェクトと認識されないことにもなりかねない。

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