モバイル利用ならやっぱり「クラウド型グループウェア」:IT導入完全ガイド(3/3 ページ)
クラウドサービスの進化により、ますます便利になるグループウェア。経営者にとって、自分の時間の有効活用と正確な社内情報の把握は不可欠だ。
IT部門の独りよがりはダメ、ユーザー部門の声を聞いて要件を詰める
グループウェアがうまく活用され、社内での情報共有がスムーズに実現されるためには、エンドユーザーに使われる機能が提供されなければならない。IT部門が注意すべきなのが、自分たちの視点だけでツールを選択しないということだ。
例えば、「営業部門にはこんな機能が必要だろう」という想定でSFA機能を追加しても、入力項目が多過ぎれば現場は疲弊するだけという状況が生まれてしまう。従業員満足度を第一に据え、例えばエンドユーザーに自らカスタマイズしたいという要望があるなら、そうした声にも耳を傾けよう。
導入後には、説明会や研修の場を設けるという姿勢が重要だ。ベンダーによっては導入後の勉強会を開催するところもあるので、確認するとよい。
サービス提供側の定めたシステム要件や補償体制などをチェックする
クラウドサービスの利点の1つは、ユーザー企業側でシステム運用の手間やソフトウェアのバージョンアップなどを考える必要がないことだ。しかし、ここで注意すべきなのは、クラウドサービスの進化に併せて自社の環境も成長させていく必要があるということだ。
例えば、オンプレミス環境ならばソフトウェアやWebブラウザのバージョンも自社都合で固定できるが、クラウドサービスはどんどん進化する。それがユーザー企業に新たなメリットを提供することになるが、それを享受するためには、例えばエンドユーザーの使っているデスクトップPCのスペックは今のままでいいのか、あるいは換えなければならないのかといったことを投下コストと併せて十分に見極める必要がある。
さらにはクラウドサービス自体がどのようにメンテナンスされていくのか、またサービスのシステム要件が大きく変更されるときには、どれぐらい前にユーザー企業側に通知されるのか、あるいはデータのバックアップはどのような形で採られていて、どのように復旧してくれるのか、万一データが使えなくなったときの補償体制はどうなっているのかなども事前にチェックしておくことが必要だ。
試用を通じて、基本機能の操作性をチェックする
サービス導入後にグループウェアがうまく活用されていくためには、エンドユーザーが誰でも簡単に使えることが非常に重要だ。そこで利用するサービスを決定する際には、ベンダーが提供する30日無料トライアルなどを社内広報し、現場のユーザーに実際の使い勝手を試してもらうことが必須となる。
例えば、面白いトライアルのやり方として、ある程度のカスタマイズができるクラウドサービスが対象となるが、IT部門と業務部門が別の環境で同時に試用を開始し、2週間ほど使った後で両者のユーザー画面を比べてみるという方法がある。
2週間の間にそれぞれの部門がどんなUIを実現したのかなどを比較することで、双方に気付きがあり、最適なユーザー環境を実現することが可能となる。クラウドサービスなので、2つの異なった環境で試すことにも何らハードルはない。導入に際しては、現場とともに実際のサービスを使ってみることが肝要だ。
他社事例などを参考にして、サービスのレスポンスをチェックする
今回の取材で聞いた話として、オンプレミスのグループウェアからクラウドサービスに移行したものの、やはりオンプレミスに戻ったという企業もあるという。数としては非常に少数だが、その理由として挙げられたのがサービスのレスポンスだ。
言うまでもなくクラウドサービスはインターネットを介して操作するので、オンプレミス製品に比べてレスポンスがワンテンポ遅くなる場合がある。またユーザー数が多くなればなるほど、データのダウンロードやアップロードにも時間がかかり、さらにはメールの遅延やメールの添付ファイルが開けないなどの障害も起こり得る。
クラウドサービスでは、例えば99.98%といったような稼働率が提示されているが、実際の利用場面における詳細なレスポンスまでは分からない。ベンダーに自社と同等規模で同じ使い方をしている先行ユーザーを紹介してもらうなどして、現場レベルでのレスポンスをチェックすることも忘れてはならない。
サポート体制を十分にチェックする
メールと電話による24時間365日サポートをうたうサービスは多い。しかし、ここで特に気を付けたいのは、ベンダーが直接サポートを行う場合というよりも、障害対応を販社が全て行う体制を採っているサービスの場合だ。
当然販社によってスキルのバラつきがあり、自社が満足するようなフォローができないところもあるかもしれない。サービスの導入前に販社の良しあしを見極めるのは難しいが、過去に何社あるいは何アカウントを運用していたという実績や営業時の対応、さらには試用期間中の対応が、販社を選択する一つの判断基準になる。サービスの利用開始後に困らないためにも、相手の実力は十分にチェックしておくべきポイントだ。
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