勤怠管理システムの導入状況(2015年):IT担当者300人に聞きました(1/5 ページ)
勤怠管理システムの導入実態を調査した。大企業と中小企業では導入率に3倍以上の開きがあるなどの様子が明らかになった。
キーマンズネットでは、2015年2月4日〜2015年2月17日にかけて「勤怠管理システムの導入状況」に関するアンケートを実施した(有効回答数381件)。回答者の顔ぶれは、情報システム部門が全体の40.2%、一般部門が59.8%という構成比だった。
今回聞いたのは、勤怠管理システムの「導入状況」「導入目的」「満足度」「重視ポイント」「導入しない理由」など、勤怠管理システムの利用状況を把握するための質問だ。その結果、大企業は導入率が83.0%に達しているのに対し、中小企業は24.1%にとどまっており、3倍以上の開きがあることや、今後の導入目的の1つとして「勤務時間のリアルタイム把握」に注力されていることが明らかになった。
なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。
大企業と中小企業では導入率に3倍以上の開き
最初に、全員に対して「勤怠管理で苦労している点」について尋ねた(図1-1)。その結果、1位は「未入力への対応」で38.0%、2位は「収集・集計作業が煩雑」で26.0%、3位は「在宅勤務など勤務体系の多様化に対応できていない」で24.0%、4位は「リアルタイムで把握できない」で21.6%、5位は「アクセス集中時の高負荷」で18.6%と続いた。
特に100人以下の中小企業においては「収集・集計作業が煩雑」「不正打刻が多い」といった点、1001人以上の大企業においては「収集・集計作業が煩雑」「アクセス集中時の高負荷」といった点が、全体値と比較して大きな割合を示していた。
続いて、「勤怠管理システムの導入状況」について尋ねた(図1-2)。その結果、「既に導入済みである(追加/リプレース検討なし)」が57.5%、「既に導入済みである(追加/リプレース検討あり)」が6.3%、「新規で導入を検討している」が1.6%、「必要性を感じるが導入時期は未定」が9.2%、「必要性を感じない」が25.5%であった。まとめると、全体では63.8%が「導入済み」で、7.9%が「検討中」という結果となった。
従業員規模別に見た場合、100人以下の中小企業においては導入済みが24.1%にとどまっているのに対し、1001人以上の大企業では83.0%が導入済みであり、導入率が3倍以上も開いているという現状が浮き彫りとなった。
また、勤怠管理システムを導入済みと回答した人に「勤怠管理システムの導入方式」について尋ねた。その結果、「パッケージ(ソフトウェア)」が43.3%、「自社開発」が39.5%、「ASP/SaaS」が11.6%と続いた。
一方、導入予定と回答した人にも同様に尋ねたところ「パッケージ(ソフトウェア)」が66.0%、「ASP/SaaS」が34.0%、「自社開発」が22.0%という結果だった。導入コストを安価に抑えられる点や、社外環境からでもリアルタイムに勤怠入力や管理が可能な点といったメリットから「ASP/SaaS」などのサービス活用が進むことが予想される。
また、図1-2にあるように100人以下の中小企業では「既に導入済みである(追加・リプレース検討あり)」「新規で導入を検討している」「必要性を感じるが導入時期は未定」を合計すると29.8%で、約3割が「導入を検討している」と回答した。
この背景には、労働基準法の改正法案に実労働時間ではなく「みなし」時間で労働時間を計算する「裁量労働制の適正範囲拡充」や、成果に対して報酬を支払う「ホワイトカラーエグゼンプション」の新設、「フレックスタイム制の見直し」などが盛り込まれており、働き方の多様化に合わせて中小企業でも正確で柔軟な勤怠管理が必要とされていることなどがありそうだ。
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