サービスデスクツールの効果が分かる3つの事例:IT導入完全ガイド(1/7 ページ)
エンドユーザーからのクレームや相談に対応し、システムの障害発生アラートに脅かされ、他の作業がおろそかになることも。運用管理の現場にとってサービスデスクツールは救世主となるか?
エンドユーザーから日々やってくるクレームや相談の電話とメールに対応しつつ、システムからの障害発生アラートに脅かされ、機器やソフトウェアベンダーなどに必要なサポート依頼をしているうち、対応の進捗(しんちょく)記録や対応結果の記録といった事務作業はついおろそかに。やがてどんなインシデントをどう解決したのかが分からなくなり、その際にシステムに加えた変更が把握されずに次の変更を行ったために不具合を起こすこともある。
そんな運用管理の現場を改善するとともに、エンドユーザーの疑問や苦情、システム上の問題などを迅速に解決し、業務効率を底上げする効果を発揮するのが「サービスデスクツール」だ。今回は、ツールの最新事情と上手な活用法を紹介していく。
「サービスデスクツール」最新事情
サービスデスクツールは、業務部門や開発部門などのエンドユーザーからITシステムに関する問合せやクレームなどを窓口で一括して受け付け、解決までのプロセスを一元管理して効率化するツールだ。今回は、サービスデスクツールが企業のどんな悩みに応えるものなのか、事例を通して紹介していこう。
まずサービスデスク未導入企業の運用管理部門で抱えがちな悩みを挙げてみよう。運用管理部門、業務部門と開発部門に次のような問題はないだろうか。
運用管理部門の悩み
- 専門技術をもつ人材が不足し、対応できる人に業務が集中する
- エンドユーザーからの問合せが電話やメール、口頭で随時伝えられ、即時に対応できないことがある
- システムからのアラート発報が多く、対応しているとユーザーからの問合せに答えられない
- 問題の根本原因を残したまま当面の不具合などの解決を行うことが多く、同じ問題が再発する
- 問題解決のためのシステム変更が、他のユーザー業務やアプリケーションで問題を引き起こす
- 問題解決のプロセスが記録されておらず、現状のシステム構成が変わっていても気付かない
- 2次対応以降のエスカレーションにおいて、ベンダーへの連絡と対応が適時に行えない
- 各プロセスの実行承認権限者が決まっておらず、責任の所在が不明確
- システムが多様化・複雑化し、対応時間の短縮は求められるのに工数は増加傾向
- ITサービスのコストが可視化できず、コスト管理や予算の正当性の説明が難しい
業務部門や開発部門の悩み
- ITサービスを要請したいが、どこにどう連絡すればよいか分からない
- ITサービス要請が受け付けられたが、いつまでたっても対応してくれない
- 機器やソフト調達などの申請・承認の流れが分からない。申請した案件の進捗も不明
- 業務アプリのバージョンアップが知らぬ間に行われたため業務手順の変更に迫られた
- ごく簡単な質問のはずなのに、回答まで長く待たされてしまう
いかがだろう。全ては運用管理スタッフの数や力量と、インシデントの量のアンバランスが問題だと考えたら大きな間違いだ。どれだけスタッフがいても、システム運用管理の基本的な流れが定義されず、流れに従って対応業務やサービスそのものを遂行できる仕組みが不十分だと悩みは消えない。サービスデスクツールはその解決のための枠組みを提供してくれる。
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