失敗事例から学ぶ、失敗しない「UPS」選び:IT導入完全ガイド(6/6 ページ)
東日本大震災で電力不安を体験した企業の多くは「UPS(無停電電源装置)」の見直しを図った。あれから数年、想定外の事態を体験した企業も少なくないという。
最大定格電力値から必要容量を確定
step3で確定した機器の「最大定格電力値」を調べて合計する。これは機器に貼られたステッカーや付属するマニュアル、仕様書などを確認する。不明な場合は製造メーカーに問い合わせるなどして必ず算出しておきたい。というのも、この最大定格電力値の総計を正しく見積もらないと、電源トラブルが発生したときのバックアップ時間が短くなり、UPSの真価を発揮できないこととなるからだ。
最大定格電力値は「VA値」「W値」「A値」のいずれかで記載されていることが多く、総容量は「VA値」と「W値」のそれぞれを合算して算出する。機器の表示がVA値だけ、W値だけの場合は、以下の計算式でそれぞれを算出してから合算すればいい。
- VA値=W値÷力率
- W値=VA値×力率
※力率が不明な場合は、一般的なIT機器の力率が0.6〜1.0であることを参考にして、VA値の計算では力率=0.6、W値の計算では力率=1.0とする
この最大定格電力値の合計値が、UPSの「必要容量」となる。この必要容量を超える製品を選択することとなるが、このときVA値とW値の両方を上回る製品を選択する。各メーカーは、UPS製品のスペックに「出力容量」を明記している(メーカーによってはカタログでアイコン化して表記していることもある)ので、それを参照しながら、step1、step2で想定した製品の中から絞り込んでいく。
バックアップ時間を満たす製品を選択
最後に、電源トラブル時にどれぐらいの時間UPSから給電するか、つまり「バックアップ時間」を決める。前述したようにバックアップ時間はあくまで接続した機器を安全にシャットダウンもしくは停止するための猶予時間だ。その点を踏まえてメーカー提供の「バックアップ時間表」を参照して、最大定格電力値とバックアップ時間から条件を満たすモデルを選択する。
下の表は一例だが、(1)「必要容量:500VA/350W」で、(2)「必要バックアップ時間:15分」としたときに、バックアップ時間表からモデルを選定している。
管理ツール、仮想環境への対応を確認
一連の流れに沿ってUPS製品を決定したら、その製品で利用できる管理ツールを確認したい。また、必要ならば仮想環境への対応もチェックしたい。Hyper-V、VMware、Citrix XenServerなどなど、仮想環境にもさまざまあるが、運用している環境に対応しているかどうかを検討しつつ、最終的なUPS製品を選択していこう。
なおメーカーによっては、導入前の製品貸し出しや管理ツールの試用などを提供していることがあるので、導入前にはメーカーに相談の上、利用しておきたい。
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