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炎上、漏えい、なりすまし、企業のSNSトラブル回避策セキュリティ強化塾(1/6 ページ)

TwitterやFacebookなど、SNS(ソーシャルネットワークサービス)の普及で投稿内容によるトラブル頻発が大きな社会問題になった。

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 TwitterやFacebookをはじめ、各種SNS(ソーシャルネットワークサービス)が急速に普及した近年、投稿内容に関わるトラブルの頻発は既に大きな社会問題になっている。

 従業員が個人アカウントで投稿する内容が企業のイメージをおとしめるケース、企業アカウントでの投稿が猛烈な批判を浴びるケース、第三者が企業や有名人のアカウントを詐称あるいは乗っ取って無責任な投稿をするケース、さらに標的型攻撃やフィッシング詐欺に利用される可能性もある。

 しかし、さまざまなリスクがあっても、マーケティングや顧客リレーション上でもはや無視できない利用価値があり、従業員の利用を完全に禁止することも困難。トラブルを回避しながら利用していくには、企業にどのような対応が求められるだろうか。

警戒感の薄さと拙速の対応がトラブルを拡大

 企業が直面するSNSにまつわるトラブルには、

  1. 企業アカウントでの利用に関するもの
  2. 従業員の個人アカウントでの利用に関するもの
  3. 企業活動に関する話題が、企業のSNS活用にかかわらず拡散するもの

の3種類がある。いずれの場合も法律や社会通念、あるいは礼儀やエチケットに反する内容の投稿が「炎上」を呼び、否定的な投稿が拡散・拡大することによって企業ブランドが傷つくケースが多いようだ。それに加えて顧客のプライバシーに関わる投稿はブランド毀損(きそん)ばかりでなく損害賠償につながる可能性があり、機密を要する業務内容に関連する投稿は直接的に企業にダメージを与えかねない。

 またSNSの正式アカウントのID/パスワードを何らかの方法で入手、推定し、正当なアカウントになりすまして投稿を行う事例もある。英国BBCやレディー・ガガなど有名メディアや芸能人のアカウントが乗っ取られる事例が多い。

主なSNSトラブル
表1 主なSNSトラブル

 また正当なアカウントの乗っ取りよりも多いのが、本人を詐称した偽アカウントからのなりすまし投稿だ。例えば、会社役員のアカウントを詐称して暴言を繰り返し投稿する迷惑行為や、政治や宗教関係の過激な投稿でイメージ悪化を図るような事例が頻繁に起きている。

 目的のはっきりしない単なるいたずらに類するものもあるが、ある程度フォロワーが増えた段階でフィッシング詐欺などの悪意ある投稿が行われる可能性がある。2014年6月には駐韓米軍司令官のSNSページにそっくりの偽造ページが出現し、メールと組み合わせた詐欺行為が報道されている。

 さらに発表前の新商品情報を技術者がSNSで公開してしまう事例もある。その他、ホテル、コンビニ、飲食店などでの従業員による悪ふざけ写真の投稿、有名人目撃投稿、暴言投稿などのいわゆる「バカッター」事件は枚挙に暇がない。中には謝罪ではすまず、店舗閉鎖、損害賠償請求、従業員への訴訟にも発展したケースがある。

 こうしたSNSにまつわるトラブルは、単純な「利用禁止ルール」では防げない。ドメイン内からのSNS接続を強制的に断つことはできても、個人アカウントでの利用を排除することは非常に困難だ。また企業利用をしない前提では、SNSがもたらすマーケティングや顧客リレーションの強化といった利益をみすみす捨てることになる他、なりすましアカウントの存在や誹謗中傷投稿に気付かず被害を拡大させてしまうことも容易に予想できる。

 企業としてSNSを有効活用しつつ、起こり得るトラブルを未然に防ぐための対策が必要なことは明白だ。そのための対策の1つとして「SNS利用ガイドライン」が今後ますます重要になる。今回は、数々のSNSトラブルの中でも、企業の業務に関わるトラブルを未然に防ぐことにフォーカスし、今から取り組むべき「SNS利用ガイドライン」策定を中心に解説していく。

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