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エクストリーム会議に挑戦、遠隔モバイル会議の実力検証IT導入完全ガイド(3/3 ページ)

高精細な映像と音声でのコミュニケーションが可能な遠隔会議だが、帯域の不安定なモバイル環境での実力はどうだ? 山頂からの会議参加に挑戦してみた。

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山の頂上からエクストリーム会議を開催してみた

 さらに変わったシチュエーションで試してみたいという欲望にかられ、今度は筆者の個人的な趣味である山登りの場面で、編集部との会議を行ってみようと計画した。これも別の取材で大分県の湯布院を訪れる機会があり、このタイミングに実行だ。取材前日の朝早くから東京を発ち、昼前に湯布院に到着、そこから街のシンボルともなっている「由布岳」に登り、頂上から会議に参加してみるという計画だ。

図8 羽田空港での筆者と大分空港での天気
図8 羽田空港での筆者と大分空港での天気。(左)午前6時30分の羽田空港。これから会議に向かう姿には見えない。結構ハードな計画だと既に後悔し始めている。(右)午前9時40分の大分空港。大雨、最悪。
図9 湯布院駅前の風景
図9 湯布院駅前の風景。(左)バスの中から見る湯布院。天気の回復を願う。(右)午前10時45分、湯布院の駅前。外国人観光客が大勢いる。雨はやまない。

 東京を出発し、午前11時30分にはバスで由布岳の登山口に。阿蘇くじゅう国立公園に指定されている由布岳は豊後富士とも称された山で、1583メートルあまりの高さを誇る日本二百名山の1つだ。晴れていれば円すい形がはっきりと分かる素晴らしい風景が広がっていたはずだが、雨模様の中で頂上付近は霧の中。登山する天候としてはあまりよくない。

 実際には登頂することよりも「会議をする」ことがメインのため、頂上までの道中は「会議室までの道のり」であり、雨の中会議室に向かうというシチュエーションだ。当然ながら、登山をする時の高揚感はなく、うまく会議ができるかどうかの不安しかない。

 なお、途中は雨がひどくなり、途中の撮影が困難に。すれ違ったのはわずか2組、若いカップルが1組と、福岡から奥さんを強引につれてきた夫婦のみ。「小学生でも登れる山だと聞いてきたのに、旦那にだまされました」とはご機嫌斜めな奥様からいただいた一言だ。

図10 由布岳登山口とその道のり
図10 由布岳登山口とその道のり。(左)由布岳登山口、(右)由布岳の山中
図11 仰ぎ見る由布岳
図11 仰ぎ見る由布岳

 登山口から1時間32分で登頂。由布岳には東峰と西峰という2つのピークが存在するが、西は切り立った岩場を登る必要があり、強風が吹き荒れる今回のコンディションでは危険と判断する。比較的容易な東峰のピークへ。

図12 由布岳に登頂
図12 由布岳に登頂。(左)登頂したものの風雨がすごい。(右)1時間32分で登頂

 早速スマートフォンから会議に参加する。今回はブイキューブの「V-CUBE ミーティング」を使用した。クライアントアプリを起動させ、東京の会議室へ。

 頂上付近は辛うじて3G回線が確保できるエリアであり、風雨も手伝ってネットワーク環境は劣悪だ。実際に起動してみると、映像は何とか相手が視認できるレベルだが、映像はカクカクして滑らかなものではなく、画質はかなり悪い状況だ。

 ただし、音声は最初一部途切れたものの、会話はなんとかできるレベル(※1)。荒れ模様だったため一眼レフが準備できず写真撮影が困難になる。1人で撮影することの困難さを実感した。

※1:この事象について後日ブイキューブの技術部門からフィードバックを得た。それによれば、接続当初は映像の交換をトライしたものの安定化しなかったために一部途切れが発生し、その後、上り/下りの画質(帯域)を自動的に下げて通信を保全する仕組みが働いて会話できるレベルが保持されたのではないかということだ。

 そこでピークから少し下った場所で風雨を避けられるエリアを発見。先ほどのご夫婦もその場所で風雨をしのいでいたため、撮影をお願いした。スマートフォンを自撮り棒に設置した上で会議への参加を行ったが、ここでも3G環境だったため、会議に参加できるレベルには至らなかった。

図13 自撮り棒にスマートフォンを装着し、会議に参加
図13 自撮り棒にスマートフォンを装着し、会議に参加

 さらに下った場所でLTEエリアを探し、あらためて東京の編集部へアクセスする。さすがに回線が安定すると映像や音声も鮮明になり、会議室とのやりとりも十分可能な状況になった。V-CUBE ミーティングではボタン1つで資料共有が簡単に行えるようになっており、モバイル画面でもPC上の資料が手軽に確認できる仕組みとなっている。

図14 東京の編集部。会議室は当然ながら穏やかな風景
図14 東京の編集部。会議室は当然ながら穏やかな風景
図15 LTEエリアで会議参加したスマートフォン画面
図15 LTEエリアで会議参加したスマートフォン画面
図16 写真と撮るために一眼レフを構える筆者
図16 写真と撮るために一眼レフを構える筆者

 登山しながら会議に参加するという「エクストリーム会議」を実践してみたが、重視すべきは充実した回線が確保できるかどうかだろう。サービス側ではシンプルなインタフェース構成で迷うことなく会議に参加できるという操作性も大きなポイントだが、やはり回線の安定が最大のポイントになる。

図17 温泉から会議に参加
図17 温泉から会議に参加

 なお、悪天候のため体温の低下が著しく、会議に参加するために長い時間立ち止まっていることができなかった。今度は天気のいい日にあらためてチャレンジしたい。

 なお、せっかく湯布院に来たのであれば、温泉にでもゆっくり使って日頃の疲れをいやしたいところ。そこで、宿の許可をもらって温泉の中にスマートフォンを持ち込んで、会議に参加してみた。こういった使い方だってもはや可能なのだ。

 今回はスマートフォンを使ってさまざまなシチュエーションから会議に参加してみたが、回線さえ安定していれば、外部から会議に参加することは全く違和感がないことが分かった。

 昨今ではワークスタイル変革を旗印に、さまざまな業務改善が行われているが、会議の在り方についても柔軟な方法が考えられるだろう。モバイルデバイスを活用した遠隔会議という方法も、新たなワークスタイルを導入する際に検討してみてはいかがだろうか。

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