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どこに置く? 何に使う? もっと戦略的なバックアップを考えるIT導入完全ガイド(3/3 ページ)

データのバックアップは業務遂行において必要不可欠だ。しかし、バックアップを取るという手段がゴールになってはいないか?

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 複雑さを増すニーズに対応すべく、バックアップツールは機能追加や向上がなされている。選定ポイントとして注目すべき機能を幾つか紹介しよう。

重複排除と新世代の増分/差分バックアップ

 まずは「重複排除」だ。これは以前より注目されていたもので、既に“枯れた”技術といっても良い重要な技術だ。企業が取り扱うデータの量は飛躍的に増えており、バックアップのためのストレージ容量もそれに合わせ増加している。

 重複排除バックアップは、複数のバックアップ対象のサーバのデータ重複を識別し、バックアップサーバにないデータのみを読み出し、転送する機能だ。ストレージ容量の節約だけでなくネットワークを流れるデータ量の削減にも効果があり、回線負荷の軽減、バックアップ時間の短縮が見込める。つまり、RPOを短く設定できるわけだ。例えば毎日フルバックアップを取るような運用も可能となる。

重複排除バックアップ
図1 重複排除バックアップ(出典:NEC)

 増分/差分バックアップも進化している。これまでの教科書的なバックアップ手法といえば「週に1度フルバックアップを取り、増分バックアップを毎日行う」といったものだった。この場合、世代を多く保存しようとすると、バックアップのためのストレージ容量は右肩上がりで必要となる。

 そこで、「指定した世代数を超えると最も古い増分データをフルバックアップに自動的にマージする」という機能が登場している。これであれば、フルバックアップの取り直しが不要となり、万が一のリストア時にもマージされたフルバックアップとそれ以降の増分データを戻すだけで作業が終わる。つまりRTOを短くできる。

増分バックアップ
図2 増分バックアップ(出典:arcserve Japan)

バックアップと緊急時インスタンスを同時に確保

 仮想環境に対するバックアップは、ベンダーが最も注力している部分だ。今どきのバックアップツールでは、仮想マシンごとにエージェントをインストールする必要はない。Hyper-VやVMware vSphereの仮想ホストごとまとめてバックアップできるのだ。仮想サーバと物理サーバが混在する環境ならばこのような機能を活用したい。

 仮想化技術の登場によりバックアップ戦略は複雑さを増したが、同時にその特徴を生かせるバックアップもある。運用中のサーバに障害が発生した場合、既に取得済みのバックアップデータを基に「仮想スタンバイサーバ」を自動起動する機能を提供するベンダーも登場している。この機能は同一サイト/オフサイトでも利用可能だ。とにかく業務を継続したいというニーズに適している。

仮想スタンバイサーバ
図3 仮想スタンバイサーバ(出典:arcserve Japan)

 このように、今どきのバックアップ機能の採用はバックアップ時間短縮やリストア時間の短縮が見込める。バックアップはシステムの刷新時に導入が検討されるケースがほとんどだ。とはいえ、決してバックアップは「オマケ」ではない。万が一のトラブルに備え、確実にシステム戻せる仕組みを手に入れられるよう、またディザスタリカバリの一環としても戦略を持って導入検討を行うことをお勧めする。

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