ビッグデータの“その先”にあるデータ仮想化ソリューションって何だ?【後編】:IT導入完全ガイド(1/3 ページ)
「データ仮想化」とは一体何なのか。システム運用面ビジネス面での利点をチェックする。
前編ではデータ仮想化ソリューションが注目を集める背景と、その概要について解説した。後編では、前編の内容を踏まえて、データ仮想化ソリューションの具体的なメリットと、その選定のポイントについて言及する。
システム運用面でのメリット
データ仮想化ソリューションのメリットを理解するには、まず従来のデータウェアハウスをベースとしたデータ活用のデメリットを知っておくのが分かりやすいだろう。データウェアハウスには、汎用(はんよう)的なデータ統合プラットフォームとしての長年の実績がある一方で、データ運用管理において大きく次のような5つの問題点が存在している。
1つ目は、25年も前に確立された古いアーキテクチャであり、ビッグデータをはじめとした最新のデータ活用シーンには対応が難しい点が挙げられる。続いて2つ目は、データを全てコピーしなければならないため、データの冗長化を招くとともにセキュリティリスクとコストが増大してしまうという問題だ。
3つ目は、ETLとデータマートのスクリプトが個別に開発、運用されるので、プログラム運用が複雑になってしまう点。4つ目には、運用バッチが増えることで、不可逆的なデータを蓄積したストレージが増大し、運用負荷もまた増大してしまう点が挙げられる。そして最後の5つ目となる課題が、データのリアルタイム性の低さから、BIなどによるリアルタイムなビジネスの分析による可視化には向いていないという点だ。
データ仮想化ソリューションのシステム面でのメリットは、これらのデータウェアハウスの問題点を全て払拭(ふっしょく)するものと考えていいだろう。
データ仮想化の特徴
- 新しいアーキテクチャでありビッグデータなど最新のデータ活用にも適している
- 基本的にデータソースに直接アクセスするので別にデータのコピーを蓄えるためのインフラリソースのコストが生じずセキュリティホールも生じにくい
- シンプルなプログラム運用とシステム運用
- リアルタイムなデータ活用
データ仮想化ソリューションのメリットとしては、これら以外にも、わずか数カ月での導入も可能という開発工数の抑制やデータ品質の保証などが挙げられる。後者については、品質の悪いソースデータであっても、仮想統合の過程でクレンジングすることにより、粒度のそろった信頼性のあるデータが利用可能となるというメリットである。また、ユーザーがセルフサービス利用することによりアジャイルなBIが実現できるというのも大きな特徴だといえるだろう。
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