データ活用力アップ、「データ仮想化」を導入ステップと先進事例で学ぶ:IT導入完全ガイド(1/3 ページ)
異なる環境に保存されたデータが一覧でき、分析が可能になるデータ仮想化をSONY、マクニカ、Comcastは既に実践中だ。
まだ概念も十分に広まってないように思える「データ仮想化」。従来のデータ活用基盤と何が異なるのかを理解できていないユーザーがいる一方で、一部の企業ではソリューションを導入して現実のビジネスに活用しはじめている。データ仮想化ソリューションを導入するに当たり、整理すべき要件や構築すべき環境、導入後の留意事項をガイドした後、先進企業におけるデータ仮想化ソリューション活用事例を紹介したい。
データ仮想化の導入ステップ
データ仮想化ソリューションの導入前と導入後、それぞれについて押さえておきたい内容を紹介していきたい。
導入前のポイント
まずデータ仮想化ソリューションの導入の前に整理しておくべき事柄として、当たり前だが活用用途とその目的、使用するユーザーを明確にしておくことが挙げられる。
続いてそのために必要となる社内もしくは社外のデータの品質評価を行い、データのクレンジングが必要かどうかなどを判断する。既存のデータベースや業務システム等のソースシステムとの連携については、データ仮想化ソリューションが備えるコネクタの設定で接続するため、対応が可能かどうかを事前に調査するようにしたい。
データに関しては、データを仮想化するので必要なデータが全てデータベースにそろっている必要はない。例えば会計システムで管理している実績データと、ローカルのExcelで管理している計画データを、仮想的に統合して予実分析することも可能だからだ。
導入後のポイント
データ仮想化ソリューションの導入後、その効果を確実なものとするならば、まずデータの適合性について判断することが重要だ。実際に使用する中で、データ活用要件に仮想と物理どちらが適しているのかを見極め、場合によっては物理統合へと進めていくようにする。
続いて開発生産性の評価だ。ここではトライ&エラーを短期間で繰り返すアジャイルな活用ができる運用がデータ仮想化ソリューションで実現しているかどうかがポイントになる。例えばデータ統合モデルの設定等でコーディングが発生するような仕組みだと、仮想であっても開発工数やコストがかかり、結局運用が硬直化してしまうおそれがある。
最後にデータ品質を評価する。既存データ資産の棚卸、評価をあらためて行うことで、今後クレンジングや名寄せなどデータ品質の改善が必要かどうかを見極めるのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.