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データ活用力アップ、「データ仮想化」を導入ステップと先進事例で学ぶIT導入完全ガイド(3/3 ページ)

異なる環境に保存されたデータが一覧でき、分析が可能になるデータ仮想化をSONY、マクニカ、Comcastは既に実践中だ。

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Comcast:サイロ化されたデータを仮想統合し約20億円売上を向上

 米国のケーブルテレビ、情報通信、メディアエンターテイメント企業Comcastは、各州の地元ケーブルテレビ企業を買収していたいきさつがあり、サイロ化されて統合化しきれなかったデータが存在していた。そこでそれらのデータをデータ仮想化ソリューションで仮想的に統合した。全てのデータにアクセスできるようになったことで、迅速な分析が実施できるようになり、新たなビジネスチャンスの発見に結び付けている。

 2200万人の顧客に対してサービス勧奨(キャンペーン)を計画していた同社では、顧客のニーズを理解するために、顧客の調査データ、運用データ、動態データを統合化して分析する必要に迫られていた。そこでデータ仮想化ソリューションを導入して複数のシステムを結合。予測分析手法を導入したことでビジネスの意思決定の質とスピード双方の向上を果たしている。

 具体的な効果としては、問題解決にかかる時間の短縮、初年度に2100万ドルの売上増加、それに既存の方法では1プロジェクトしかできなかったところを6カ月間に4プロジェクトを実行できるようになったことが挙げられる。

石油会社A社:石油掘削の生産性を向上

 これはちょっと変わり種の導入事例かもしれないが、データ仮想化ソリューションの活用領域の広さがよく分かるものだ。石油掘削機のドリルヘッドはダイアモンドを利用していることもあり非常に高価で、10カ所掘削をするには通常だと10個のヘッドが必要になる。

 それをA社では、システムリソースや人的リソースから集められたデータを、データ仮想化ソリューションを通じて透過的に分析できるようにしたことで、少し掘削を進めただけで埋蔵量の判断が可能となり、同時に3カ所を掘削するだけで、同時に10カ所掘削するのと同等の効果を上げられるようにしているのである。

 取得するデータは、採掘から清算、搬送、精製、積出までの過程で生じる650種類のデータ。採掘ドリルのノイズ、トルク、熱など、生産時の稼働状況、圧力、流量など、加えてその他のシステムの稼働状況などだ。これに各段階のプロジェクトマネージャ、採掘や精製などのエンジニアや専門家、現場の作業者といった人的リソースのデータも加わる。取得されたデータは45種類のデータベースシステムに蓄積し、データ仮想化ソリューションを通じて透過的にデータ分析を行えるようにしたことで広範なリソース管理を可能とした。

図3
図3 石油掘削の生産性を向上(出典:シスコシステムズ)

米国の金融機関B社:データウェアハウスからの移行でコストを6割削減

 最後に、データ仮想化ソリューションの導入効果が数値でよく現れている事例を紹介したい。かつてB社では、データウェアハウス上のデータ収集、統合作業のプログラミング(ETL含む)に、毎年712人日を要していた。それをデータ仮想化ソリューションの導入で作業効率を上げることで、287.9人日と、約60%もの削減に成功しているのである。

 削減された個々の項目を見てみると、まずデータモデルの分析にかかる工程で60%削減、ETLの開発工程では80%削減、その他試験工程などは50%削減となっている。こうして全体的な作業工程の高速化を達成したのだ。

 以上、これらの事例からデータ仮想化の有用性が理解できただろうか。自社が持つデータは今後活用の機会や活用効率などが今以上に求められるようになるだろう。その際にぜひともデータ仮想化ソリューションの検討を行ってほしい。

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