シスコのIoT事業が本格化、ファナックやKiiと連携で事業拡大目指す:KeyConductors(3/3 ページ)
シスコシステムズは国内でのIoT事業強化に乗り出した。工場で稼働する産業ロボットをネットワークに接続し「ゼロダウンタイム(ZDT)」実現を目指す。
Kiiへの出資で国内IoT市場の開拓をもくろむシスコ
もう1つ、IoT戦略の強化推進でシスコシステムズが目を向けたのは、IoT BaaS(Backend-as-a-Service)ベンダーのKii(キー)だ。シスコシステムズはファナックとの協業を発表した同日、Kiiに対して出資することも発表した。国内外の企業向けにモバイルやIoTソリューション提供で協業するという。
Kiiは、モバイルアプリやIoTデバイスのサーバ機能を提供するクラウドサービス「Kii Cloud」を運営している。サーバの構築や運用を任せることで、短期間かつ少ない初期投資でIoTビジネスへの参入を可能にする。
米国や中国、香港に拠点を構え、グローバル展開する同社は、2015年9月にはKDDIのクラウド基盤サービス「KDDIクラウドプラットフォームサービス」において、モバイルアプリおよびIoTデバイス開発基盤「mBaaS by Kii」を提供開始。B2C向けプラットフォームとしてスタートした同社だが、現在はB2B向けのIoTのプラットフォームベンダーとしてもその存在感を高めている。
Kiiの共同設立者兼会長の荒井真成氏は、「今後はスマートシティーなどシスコシステムズが取り組むIoT戦略に積極的に関わっていきたい」と述べ、事業拡大を狙う。
シスコシステムズが目指すのは、IoTでの新規市場の創出とIoT製品のデファクトスタンダードの確立だ。
「これまでIoTは、PoC(概念実証)や実証実験といった単語とともに語られることが多く、商用事例が少ないといわれていた。しかし、シスコシステムズでは既に多くの事例がある。『勉強』の段階はもう終わった。これからは本番で使うという、次のステップに来ている」。シスコシステムズの専務執行役員、鈴木和洋氏は強調する。
シスコシステムズでは製造分野において、ファナック以外にもヤマザキマザックとCNC工作機械稼働状況モニタリングソリューションを提供、センサーから吸い上げたデータを解析して保存情報に活用するなどの取り組みを実施している。
また、スマートシティー分野では京都府と包括的契約を締結して観光や医療、教育、防犯などで基本計画書を策定中だ。スポーツ&エンターテインメント分野でも、フィールド内のカメラ映像をタブレット端末やサイネージに配信する「Cisco Stadium Vision Mobileソリューション」も提供している。Kiiへの出資で、その活動範囲をさらに拡大したい構えだ。
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