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デスクトップ仮想化でコスト抑制する奥の手とは?IT導入完全ガイド(2/4 ページ)

「仮想PC方式」のデスクトップ仮想化で障壁になりがちなコスト課題。ストレージやライセンスコストの削減、運用管理工数を削減する、DaaS利用などコスト抑制策を考える。

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本当にフルクローンが必要か?

 仮想PC方式では仮想PCをあらかじめ用意するフルクローン方式と、リンククローン、MCS、PVS方式が利用できる。VMwareの技術であるリンククローンは、マスターとなる仮想PCを定義し、その仮想HDDのポインター情報を参照して他の仮想PCを展開する方式だ。

 マスターとなる仮想PCの内容は100%読み取り専用だ。クライアントOS部分はマスター仮想PCに含まれるので、少なくともその部分は他の仮想PCが保持しなくてよい。各仮想PCは、ユーザーが独自に追加、変更したアプリケーションやデータを、それぞれ差分ディスクとして保持することになる。ユーザーが利用するときにはマスターに差分がマージされて個別の仮想PCが出来上がる(図1)。

リンククローンの作成イメージ
図1 リンククローンの作成イメージ(出典:VMware)

 OS以外のアプリケーションなどもマスターとして確定できれば、その分の容量も個別に保持する必要がなくなる。これにより、マスター化(標準化)した部分が多ければ多いほど、また仮想PCが多ければ多いほど、ストレージ容量は節約できることになる。

 また、仮想PCのプロビジョニングに要する時間も短縮し、運用がスムーズになる効果もある。管理者がマスターの構成を決めることができるので、アプリケーション統制もある程度実現可能になる。加えてパッチの適用やアプリケーション更新の場合にも管理者はマスターを更新するだけでよくなり、運用管理工数も削減可能だ。

 これとほぼ同様の技術はCitrixのXenDesktopでもMCS(Machine Creation Service)として提供されている。またCitrixではネットワークブートを行うPVS(Provisioning Service)も提供している(図2)。

 これは、PVSサーバに格納されているディスクイメージを複数の仮想PC(物理PCでも可能)に配信するもので、MCSやリンククローンよりもストレージ容量の削減が可能になる。場合によっては9割削減できるという試算もあるほどだ。またPVSサーバにはよくアクセスされるファイルをキャッシュ可能なので、ストレージのI/Oも削減可能だ。PVSサーバの用意が必要ではあるが、大規模展開する場合には有利な選択になり得る。

PVSのイメージ
図2 PVSのイメージ(出典:Citrix)

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