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デスクトップ仮想化でコスト抑制する奥の手とは?IT導入完全ガイド(4/4 ページ)

「仮想PC方式」のデスクトップ仮想化で障壁になりがちなコスト課題。ストレージやライセンスコストの削減、運用管理工数を削減する、DaaS利用などコスト抑制策を考える。

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ライセンスコストを節約する「サーバVDI」

 もう1つ、仮想PC方式のコストを押し上げる要因になるのがクライアントOSのライセンスだ。Windows利用の場合はMicrosoft VDAまたはMicrosoft Client SAの購入が不可欠になる。実はClient SAはPCのProfessional Editionかシンクライアント用OSでなければ使えないので、スマートデバイスなどを使いたい場合はより高額なVDAを選ばざるを得ない。しかもVDAは3年の期限つきのサブスクリプション制なので、3年たったらまた購入することになる。

 その費用を削減するために、近年用いられるようになったのは、サーバOSのDatacenter Editionを仮想PCに導入する方法だ。このエディションはプロセッサ単位のライセンスで無制限に仮想インスタンスを実行できるもので、価格は高いが多数の仮想PCで利用するには好都合だ。ライセンス管理もシンプルになる。

 この方法の場合はSBC方式と違い、1つの仮想PCに1つのサーバOSが載るので、アプリケーションがマルチセッションに対応しているか否かは関係ない。ただしアプリケーション側のOS対応は必須であり、外部デバイスが利用できるか否かは事前検証の必要がある。仮想PCの利点である柔軟性を犠牲にすることにはなるが、コスト削減策として検討の価値はあるだろう。

運用管理やセキュリティコストを減らす策

 運用管理面では、仮想PCのプロビジョニングを迅速に行うことと、セキュリティをコスト最適に、あまりシステム負荷をかけずに強化することが中心になるだろう。これに関しては仮想化ツールベンダーがさまざまなアプローチをしており、仮想PCの作成やアプリケーションの配信を効率化するためのツールを用意している。

 またアンチウイルスベンダーもクライアント仮想化環境に対応する機能を続々追加している。仮想化方式を現在の業務と将来のIT戦略に合わせて選択したあと、各仮想化ツールベンダーやアンチウイルスベンダー個別に調べてみることをお勧めする。

DaaS(Desktop as a Service)という選択肢

 ここまでオンプレミスでのデスクトップ仮想化を前提に見てきたが、仮想PCをクラウドで提供するDaaSも1つの選択肢として考慮する価値がある。初期費用が圧倒的に低く、社内に専門知識を持つ管理担当者がいなくとも、すぐに利用開始できるところが魅力だ。

 専用のDaaSを月額料金で利用するプライベートクラウドDaaS、サービス事業者のIaaS/PaaS上でそれを提供するバーチャルプライベートDaaS、OSもアプリケーションも含めた仮想PCを提供するパブリッククラウドDaaSの種類がある。

 費用が一時期に集中するオンプレミス構築が難しい場合、資産をできるだけ保有したくない場合、中小規模でユーザー数が少ない場合などにはパブリッククラウドDaaSが好適かもしれない。各種のデバイスに対応できるサービスが多いので、例えばスマートデバイスやシンクライアント端末などの利用をこれから始めたい場合などには、ハードルの低い選択になるだろう。

 ただしパブリッククラウドDaasの場合はベンダーが提供しているメニューしか原則として選べず、自由度は低い。また数年のスパンでの運用を考えた場合、コスト面で有利かどうかはよく検討する必要があるだろう。一般的に利用期間が長ければオンプレミス構築のほうが低コストになる。

 なお、DaaSはいつでも解約できるのが1つの長所ではあるが、現実的に1年程度は解約できない場合が多いことと、いったん利用しだすとベンダーロックインが起きやすいことにも注意が必要だ。

 今のところフルクローンが利用できるDaaSは少なく、リンククローンやPVSを利用する場合が多いようだ。マスターの仮想PC更新などのメンテナンス工数、操作性などについても検討が必要だ。

 またサービスレベルがSLAで定められていることが多いが、99%以上の稼働率が保証されていても実際の停止時間はある程度生じることになる。サービスが停止してもアプリケーションであればある程度ユーザー側でカバーすることができるが、デスクトップの停止ではユーザー側は何もできなくなる。こうした注意ポイントを認識した上での導入検討をお勧めする。

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