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ギリギリまで待つか、今から取り組むか? Windows10への移行すご腕アナリスト市場予測(3/3 ページ)

2016年7月28日で期限を迎えるWindows10への無償アップグレード。導入状況や留意点から、Windows10へ移行すべきかどうかを考察する。

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Continuum

 「Continuum」(コンティニュアム)はWindows 10のモバイル版である「Windows 10 Mobile」が持つ機能である。例えば、業務でスマートフォンを利用している場合に、「普段は外出中にメールを読む程度だが、時々長文のメールを書かなければならないことがある。だが、そのためにスマートフォンとノートPCを常に持ち歩くのは面倒だ」と感じられている方も少なくないのではないだろうか。

 そこで役立つのが、環境に合わせて画面や操作を切り替えることのできる「Continuum」と呼ばれる機能だ。「Continuum」対応のスマートフォンにディスプレイやキーボードをつなぐと、画面や操作があたかも通常のPCのように変化する。出張先の部屋に置かれたテレビにスマートフォンをつなぎ、携帯用のキーボードを用いて長文メールを書くといったことも可能となるわけだ。

 こうした活用シーンを実現するためにはスマートフォンやアプリケーションが「Continuum」に対応しており、ディスプレイなどの接続機器も然るべきインタフェースを備えている必要がある。「端末の多様化」に伴って持ち運ぶ端末の台数が必要以上に増えてしまっている(「スマートフォン、タブレット、ノートPCの3台を常に携帯している」など)場合には有効な解決策の一つになると考えられる。

Windows Hello

 「Windows Hello」は顔認証や指紋認証といった、いわゆる生体認証をOSログオン時にサポートする機能である。オフィスに設置されたPCと異なり、スマートフォンやタブレットには紛失リスクが伴う。悪意のある第三者の手に端末が渡れば、時間をかけることでパスワードを解読されてしまう恐れもある。そのため、生体認証を併用することはセキュリティ対策の面でも今後検討すべき事項となってくる。

 「Windows Hello」を実現するためには「Intel Realsense 3D」という企画に対応したカメラや指紋認証センサーといったハードウェア要件を満たす必要がある。現時点でこれらの条件を満たす端末はまだ少ないが、スマートデバイス端末の導入を検討する際には生体認証への対応状況は重要な確認ポイントの一つになってくると予想される。

Cortana

 「Cortana」(コルタナ)は音声によって対話的に端末を操作できる機能である。類似の機能としては、アップルの「Siri」やグーグルの「Google Now」などがある。社内で業務をこなしているときに音声操作を行うケースはあまり多くないだろう。しかし、外出中に即座にキーワード検索などを行いたい場合などは音声による操作が便利だ。このようにOSが備える新しい機能を理解する上では社内だけでなく、社外での利用シーンもイメージしてみることが大切といえる。

 「Windows 10ヘ移行する理由」を尋ねたグラフを再度眺めてみると、これらの新機能に関連する項目の回答割合は以下のようにいずれも1割未満にとどまっていることが分かる。

Continuum

「さまざまな端末で共通した画面や操作を実現できる」(回答割合:4.5%)

Windows Hello

「認証機能が強化されている(指紋認証や顔認証など)」(回答割合:6.8%)

Cortana

「新たに対話型のアシスタント機能が備わっている」(回答割合:2.3%)

 しかし、現時点でのニーズが低いからといって、今度もその状態が続くとは限らない。スマートフォンやタブレットが急速に普及した状況が示すように、これからのIT活用は短期間で大きな変化が起きる可能性が十分ある。そうした変化に遅れないためにも、OSという存在を「社内で利用するPCの土台」でなく、「社内および社外で利用するさまざまな端末の土台」と捉え直すことが重要になってくると考えられる。

どのOSを選ぶかは企業のIT活用戦略全体を踏まえて検討すべき

 ここまでWindows 10の活用状況、移行や入れ替えの理由といった調査データを基に、企業がWindows 10をどう捉えるべきかを考えてきた。OSのバージョンアップは「PCを対象とした費用対効果」の視点だけで考えてしまいがちだ。しかし、企業が利用する端末はもはやPCだけではなくなってきている。「どのような端末をどのような場面で利用するのか」によってOSが果たすべき役割も大きく変わってくるわけだ。

 さらに、端末種別が多岐にわたるかどうかは、企業のIT活用戦略全体と深く関係する。例えば「ワークスタイル改革の一環として、在宅勤務やモバイルワークを推進する」といった方針であれば、デスクトップ仮想化やスマートデバイスの導入が検討対象となってくるだろう。「店舗での顧客対応や倉庫での在庫管理を効率化したい」ということであれば、顧客管理システムや販売管理システムと連動したタブレットの活用を検討することになる。

 そして、これらの端末は全て何らかのOSを搭載している。全てをWindows OSに統一するのか、適材適所で複数のOSを使い分けるのかについても考えなければならない。こうしたIT活用戦略全体の一環として「既存PCのOSをいつバージョンアップするのか」を考えることが大切だ。ビジネスにITが深く浸透しつつある昨今では、こうした一段高い視点からのOS活用検討が企業にも求められてきているといえるだろう。本稿がそうした視点を養うための一助となれば幸いである。

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