ウェアラブルデバイス最前線、これでまる分かり製品スペック一覧:IT導入完全ガイド(2/4 ページ)
業務用ウェアラブルデバイス、主要6製品のスペック表を徹底比較。人材不足や人的ミスなど日本を襲う問題の救世主となるか?
「人材不足」を解決するウェアラブルデバイス
「人材不足」解決に役立てるのが、上述した2つ目のグループ、「Google Glass」のような眼鏡型のスマートグラスやヘッドセット、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)だ。つまり、ディスプレイを使い目の前に情報を表示する、あるいは目の前の情報をデバイス外に送るといった「情報の送受信」のためのデバイスだ。
代表的な機能は、カメラを使った双方向の通信だ。装着者が見ているものを、リアルタイムの映像で管理者が確認できる。管理者は遠隔地から指示を出すことができ、装着している作業員はベテランと同行せずに1人で作業ができるようになる。これにより人件費の削減につながるのだ。
さらに通信でマニュアルを送る、あるいは作業員が写真を撮影し、管理者に送るといったことも可能だ。もちろん通信をしなくても記録を単に撮るというだけでも有用だろう。昨今では建築現場での施工不良やデータ改ざん、不十分な品質チェックが発覚したケースもあるため、今後作業員の記録(証跡)を残すことが重要になる可能性も大いにある。また、使用しているデバイスやシステムにもよるが、現場の作業だけでなくレポート、報告業務も同時に自動的に行うことができ、作業員の負担軽減にもつながる。
これらのウェアラブルデバイスには音声コマンドや、搭載センサーを活用したジェスチャー(首の動きなど)操作に対応しているデバイスもあり、ハンズフリー操作を実現している。スマートフォンやタブレットではどうしても手を使った操作が発生し作業が滞るものだが、ウェアラブルデバイスであれば作業の中断も減るだろう。
つまり現在のウェアラブルデバイスは、「現場(作業員)」と「管理者」で情報を送受信するための「遠隔サポート」デバイスと言ってよい。実際にニーズが高い業務は、点検・保守、建設、組み立て、物流といった“タフ”で作業員と管理者の間に物理的な距離のある“現場”が中心となる。
屋外、あるいは屋内だとしても、管理棟から大きく離れたプラントの点検、あるいは通話が不可能なほど騒音に包まれる工事現場、それも海外ということだって考えられる。現在のウェアラブルデバイスはそのような過酷な現場を意識して開発され、実際に現場で試用した上で導入が進められている。
無論、他にもさまざまな業態でウェアラブルデバイスの試験的な運用は行われているが、まだまだ研究の余地があり、全ての業態のニーズを満たせるとはいえない。以下に現在発売、開発中の企業向けウェアラブルデバイスを表にしているが、デザイン1つをとっても、まだまだ利用できる業態は限られている。
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