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ウェアラブルデバイス最前線、これでまる分かり製品スペック一覧IT導入完全ガイド(4/4 ページ)

業務用ウェアラブルデバイス、主要6製品のスペック表を徹底比較。人材不足や人的ミスなど日本を襲う問題の救世主となるか?

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ウェアラブルデバイスの課題と外せない仕様

 ウェアラブルデバイスの当面の課題は、バッテリーにある。ある程度連続使用時間を長くするためには、バッテリーそのものが大きくなり、デバイス全体も大きくならざるを得ない。そのため給電や予備バッテリーの用意が必須なのだ。

 このバッテリー1つをとっても、各社搭載方法が大きく異なる。日立製作所 インフラシステム社のHMDの場合、内蔵バッテリーは1340mAhと大きくはないが、microUSBを使い外部バッテリーから手軽に給電できるのが売りだ。内蔵バッテリーだけならば通常2時間の連続使用となるが、給電を行うことで連続8時間以上の使用も可能となる。

 一方、大容量の3300mAhバッテリーを搭載した富士通の「ヘッドマウントディスプレイ」は、そのサイズを見ても他社のデバイスと比べ、大きく重いことが分かる。しかしながら、バッテリーを含めて人の頭部に搭載でき、どんな使い方でも連続使用4時間という長時間使用を特長としている。途中で給電することなく連続4時間作業に集中できるわけだ。もちろんバッテリー交換も可能だ。

 ヘッドセット型のエプソン「MOVERIO」シリーズは、パーソナルシアターとして有名な眼鏡型のBT-200が販売されているが、表に掲載しているのはその業務用である「BT-2000」。このデバイスの特長はヘッドセット部だけでなく、コントローラーも有線ケーブルでつながっており、このコントローラーにバッテリーを2個搭載している点だ。

 コントローラー内のバッテリーは着脱可能で、「ホットスワップ」と呼ばれるデバイスの再起動を必要としない電池交換に対応している。4個同時に充電可能なバッテリーチャージャーもオプションとして販売されており、電池の交換で連続使用時間を伸ばすことが可能だ。

 このように少しでも大きく、多くバッテリーを搭載し、前述のようなタフな現場での使用を想定すると、眼鏡型よりもHMDやヘッドセット型の大型のデバイスが選択肢の中心となる。

 これらのデバイスは外観を見ると相当重く見えるが、冷静になって数字を見ると重くても300グラム程度で、見かけに反して軽いことが分かる。デバイスの重心も考えられており、実際に装着してみても軽く感じ、装着時に頭がフラフラすることもない。

 ただしエプソンの「MOVERIO BT-2000」はコントローラーを、ブラザー工業の「AiRScouter WD-200A」ならコントロールボックスと呼ばれるデバイスを、ヘッドセット/ヘッドマウントとは別にケーブルで接続する必要がある。一カ所で長時間組立作業をするような場合は邪魔にならないだろうが、移動しながら点検を行うような場合は、頭部以外にもデバイスを装着するのは行動に制限が出てくるだろう。

 また屋内での軽作業が中心であればヘルメットを使わない現場もあるだろうし、本格的にタフな現場となるとヘルメットの着用が普通だ。導入を検討しているウェアラブルデバイスがヘルメットやその他への装着を前提としているかどうか、また実際の現場のヘルメットなどにしっかり装着できるかも、しっかり確認したいポイントだ。

 そういう意味では眼鏡型の方が誰もが装着しやすい、というメリットがある。しかしエンタメ要素が強く、またどうしてもバッテリーの問題でHMDのような大きいデバイスに劣る。耐久性を考えても、タフな現場は想定されていない。

 HMDほどの大型のデバイスを求めていない場合は、現状ヘッドセット型を選ぶことになる。HMDのように頭をしっかりとホールドするわけではないので、比較的デザインに自由度がある。例えば「Telepathy Jumper」は「首掛けウェアラブル」とうたっており、特殊なアームを使い首から耳に掛けるように装着する。「InfoLinker」であれば眼鏡に装着するため、眼鏡型やスマートグラスに近い使い方が可能だ。

 また一方で、眼鏡メーカーJINSが開発した「JINS MEME」のようなウェアラブルデバイスもあるが、スマートウォッチのようなヘルスケアデバイスに近く、業務で活用するにはまだ工夫が必要だ。しかし眼鏡型デバイスはそのデザイン性の高さのおかげで、小売・サービス業といった接客業やオフィスとの親和性がある。将来的には導入する企業が増えるかもしれない。

 このように業務用ウェアラブルデバイスは、想定される利用シーンや遠隔サポートを中心とした使い方こそほぼ共通だが、1台1台の操作性は大きく異なる。多くのデバイスが登場しているため、慎重な検討が求められるが、自社のニーズに高度に合致するデバイスを見つけられれば業務へのプラスの効果も大きいはずだ。

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