クラウド化が進展中、無線LAN最新動向:すご腕アナリスト市場予測(4/5 ページ)
企業買収が進み、異業種も参入するなど無線LAN業界は激変の時を迎えている。無線LAN業界の今をアナリストが徹底分析する。
無線LANの最新技術動向
市場動向について概要を述べたが、次に技術的な最新動向について2つのトピックスを紹介したい。
無線LAN技術の最新動向としては、5GHz帯を用いて433Mbps〜6.93Gbpの高速通信を可能にするIEEE 802.11acの浸透状況が気になるところだ。最高速度が実現できる「wave2」規格対応製品が登場して一部で注目されているのだが、企業ユーザーの動きは鈍い。
最高速度が1.3Gbpsの「wave1」規格対応製品は2013年から増えており、速度を求めるユーザーに徐々に普及が進行している。図3には、IEEE 802.11acとその他の現行無線LAN規格対応製品の出荷台数構成比を示す。
普及の始まりは2014年からだが、2016年には既に53.8%を占めるまでに成長すると予測している。この動きは2017年以降も続き、2019年には全体の9割を超えるシェアとなる見込みだ。
一方、IEEE 802.11ac wave2対応製品はまだ市場での動きはまだ顕著ではないが、かつて予測されていたっような、wave2対応製品の登場までwave1対応製品を買い控えるという動きは、現実にはそれほど懸念するほどではなかったようだ。
wave2は3.5Gbps以上の高速通信が魅力だが、企業アプリケーションでそこまでのスピードを必要とするアプリケーションは、現在のところほとんどない。あるとすればVR(Virtual Reality)領域のアプリケーションが想定されるが、それも一部の企業にすぎない。学校など教育/研究関連組織では映像やVR、ARなどのニーズがあるようだが、こちらでもwave2対応製品を待って買い控えるケースはそれほど強くは見られなかった。
またその次の技術として60GHz帯を利用するIEEE 802.11ad(WiGiGとも呼ばれた)も、7Gbps程度を実現するといわれて注目されているが、具体的なユースケースはまだ描かれていない。しかしやがては11ac wave2でも十分でないユーザーも一部では出てくるだろう。次の段階での検討では俎上(そじょう)に上がる可能性はある。
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