事例で分かる「MADP」の活用法、積極的なモバイル活用で競合企業に差をつける:IT導入完全ガイド(3/4 ページ)
ROIの最大化や顧客満足度の向上、業務改善など、多くのビジネス効果が期待できるモバイル活用。今回はそのアプリ開発に有効なMADPの機能を活用事例を交えて紹介する。
複数OS/デバイスへの対応が容易
ほとんどのMADPツールでiOS、Android、Windowsのクロスプラットフォーム開発が可能だ。1回のコーディングで複数のOSに対応したネイティブアプリを作成できる。Webアプリはもちろん、ネイティブアプリを組み合わせたハイブリッドアプリ作成にも対応する。クロスプラットフォーム開発工数の削減効果は顕著で、実例でも工数30%以上を削減したケースや、開発期間を2/3まで圧縮したケース、コストを半減(各ネイティブアプリ開発との比較)したケースなどの結果が出てきている(図5)。
事例:小売業
顧客とバイヤーのコミュニケーションツールとして社内初のモバイルアプリ開発をスタート。iOSとAndroid向けアプリのワンソース開発のためにmonacaを採用、バックエンド機能はmBaaSを連携しプッシュ通知を簡単に実装。3カ月で同時開発を実現。顧客からの評判も良く、アプリDLも順調に進んでいる。
事例:オンラインショップ
カタログ情報の“閲覧”だけにとどまっていたモバイルサイトから脱し、PC、スマートフォン、タブレットの各種デバイスで“購買”も可能なEC機能を拡充。今まで購買に結びついていなかったモバイルデバイスのアクセス(全体の25%)を取り込むことに成功し、売り上げが50%増加した。IBM MobileFirst Platformを採用し、チャネルを超えたコード再利用が実現の決め手になった。
新アプリのタイムリーなリリース
モバイルアプリは適時にリリースできてこそ、ビジネス効果につながる。当然品質は最初から担保しなければならないので、機能を最低限に絞り込んだバージョンの早期リリースが選択肢となる。詳しくは別稿で述べるが、モバイルアプリ開発は画面やUI/UX優先でユーザーの意見を最初から取り入れたアジャイル型が最適。できるだけスコープを絞って、ユーザー側も開発側も納得した上で最初のリリースを行い、機能追加は次のリリースに順々に盛り込む手法である(図6)。
ただしユーザーとの共通理解のもとに開発を進めるには、少なくとも要件定義まではUI/UXプロトタイプの改善を繰り返す必要がある。これにはシミュレーターを使ったWYSIWIG、あるいは実機によるデバッグ機能や自動テスト機能が役に立つ。ユーザーも巻き込んで、目で見て触って体感することで共通認識が生まれやすくなり、後工程での手戻りの発生を最小限に抑えることができる。MADPツールには、開発途中でもUI/UXを確認できる機能が用意されており、SNSと連携してコラボレーションの円滑化を支援するツールもある。
例えば、Konyの場合はデザイナーがKony Visualizerを用いてUIの枠組みを作成し、開発者がその枠組みの中にビジネスロジックを追加していくことができる。そのため、デザインに変更があったとしても生産性を落とすことなく開発を進めることができる(図7)。
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