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スマホ1台で働き方はどこまで変わる? 「HP Elite x3」体験レポートKeyConductors

2016年夏の発売がうわさされるWindows 10スマホ「HP Elite x3」は、ノートPC風に使えたり、デスクトップPCのようになったりと不思議なデバイスだ。

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 2016年7月1日、日本HPはWindows10 Mobileスマートフォン「HP Elite x3」の製品体験会を開催した。HP Elite x3は2016年2月に開催された、モバイル業界で世界最大級のイベントである「Mobile World Congress(MWC)2016」で発表された端末。同社によれば、HP Elite x3が1台あれば、デスクトップPCもノートPCも不要なワークスタイルが実現可能だという。

次世代のビジネスシーンに寄り添う「HP Elite x3」

 体験会冒頭では、日本HPパーソナルシステムズ事業本部クライアントソリューション本部 本部長である村上信武氏が登壇し、実際に「HP Elite x3」を操作してデモンストレーションを展開した。

村上信武氏
日本HP パーソナルシステムズ事業本部クライアントソリューション本部本部長 村上信武氏

 村上氏は「現代社会では、働く場所はもはや物理的な場所に縛られない」と口を切り「米国では80%を超える企業がテレワークを採用し、20代のビジネスマンはリモートワークにすらとらわれない働き方を求めている」と言及。さらに「出張者の75%が、スマートフォンを筆頭に最低3台ものデバイスを持って出張に行く」といった例を挙げた。それを踏まえ「ビジネスにおける「3つのトレンド」から、次世代のモバイルコンピューティングの姿が見えてくる」と解説した。

スライド1
「働く場所はもはや物理的な場所に限らない!」という主張
スライド2
3つのトレンドから見えてくる「次世代のモバイルコンピューティング」の姿

 村上氏は「こうした次世代のビジネスシーンで必要とされるのが、HP Elite x3のようなデバイス」と続けた。HP Elite x3は、PCと同等の性能を備えたスマートフォンであり、デバイスを集約すると同時に情報も集約する「働き方や世代、場所に寄り添うデバイス」であるとした。

 補足ではあるが、発表時のHP Elite x3のスペックを掲載する。基本的に法人向けのSIMロックフリー端末だ。防塵(じん)・防水性を備え、虹彩認証と指紋認証機能も搭載するなど、かなり強固でセキュアなスペックを誇る端末である。

HP Elite x3 スペック
HP Elite x3 スペック

リアルを模したデモンストレーションで、その使い方が見える

 続いて、HP Elite x3を3パターンのシーンで活用するデモンストレーションが展開された。

 まずは電車内でのシーン。当然PCを広げる余裕もない通勤電車内でHP Elite x3と取り出し、虹彩認証を利用してログイン。

 Microsoft Officeの「PowerPoint」を起動して資料を閲覧したうえで編集、保存するまでの操作が実演された。

電車内での操作をイメージしたデモ
電車内での操作をイメージしたデモ
PowerPoint
PowerPointファイルを直接開いてローカルで編集、保存した。ファイルはクラウド経由で同期される。
Office
Officeを利用したデモの説明

 次はカフェでの使い方を想定したデモンストレーションが展開された。オプション販売される専用「ノートドック」にHP Elite x3を接続して、あたかもカフェのテーブルでノートPCを広げるような使い方ができる。ノートドックは12.5型液晶ディスプレイを内蔵した、クラムシェル型のノートPCとほぼ同様の外観をもつ。HP Elite x3を「Continuum(コンティニュアム)」を利用してワイヤレス接続。ノートドックではWindows10 MobileをWindows10と同等に利用できる。

 またその際、HP Elite x3はタッチパッドとして利用でき、途中電話がかかってきても、作業を行いながらBluetoothヘッドセットで電話に対応することも可能であることがデモされた。

HP Elite x3
HP Elite x3+ノートドックでまるでWindows10搭載ノートPCを使っているような状態に。
カフェシーンを想定したデモの説明
カフェシーンを想定したデモの説明。

 最後の想定シーンは「社内」だ。今度は「デスクドック」を利用する。デスクドックもオプションで提供され、ディスプレイと接続可能な他、マウスやキーボード、有線LANなども接続可能で、HP Elite x3をデスクトップPCとして利用できる。このデモでのポイントは、カフェシーンで利用したContinuumではなく、HPの独自ソリューション「HP Workspace」を使うところだ。

 HP WorkspaceはWindows10 Mobile用の仮想化ソリューションで、セキュアなクラウドに企業内で利用するアプリをアップロードして仮想デスクトップで利用できるというもの。アプリはサーバリソースで実行されるのでHP Elite x3の処理に頼ることなく、パフォーマンスも良好。また、Continuumで不可能なマルチウィンドウ操作が可能で、デスクトップPCさながらの使い勝手を実現する。さらにWindows10 Mobileで実行できない既存の32bitアプリを実行することもできる。

デスクドックを使ってHP Elite x3をオフィスで活用するデモ
デスクドックを使ってHP Elite x3をオフィスで活用するデモ
HP Workspaceの解説
HP Workspaceの解説
HP Workspace
HP Workspaceによるアプリ操作のデモ。画面には通信状態の情報も表示され、快適・確実なアプリ操作が可能である
Google Earth
かなり処理能力が必要となる「Google Earth」にアクセス。快適に動作していた

 最後に村上氏は手持ちのHP Elite x3を水槽に沈めた。防水機能はIPx7相当(水深1メートルで30分耐久)といい、試作機ではあるものの完成度は高いようだった。

水没
水没させるHP Elite x3。IPx7相当の耐水性能を実現した。

 なお体験会の会場近くでは、日本HPが主催する「第2回 HP Mobile Solution Day」が同時開催されており、同社のパートナー企業によってWindows10 Mobileに関する製品、サービス、ソリューションが紹介されていた。

HP Mobile Solution Day
多数の人で賑わっていた「HP Mobile Solution Day」。Windows10 Mobileブレークの予感が。

 現時点では、Windows10 Mobileを搭載した端末の普及は「いまひとつ」というのが実情だろう。しかし村上氏は「Windows10 Mobile市場は今後広がっていく」と主張し、今後はパートナー企業との連携も深まっていくと述べた。

 ワークスタイルが変革しつつある昨今、Windows10 Mobile搭載端末が受け入れられる未来はさほど遠くないのかもしれない。明確な発売日時や価格などは発表されなかったものの、この夏に登場するHP Elite x3が大きな影響を与える可能性は高いと感じる製品体験会だった。

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