SIer不要論、情シス飛ばし、超高速開発ツール選びの分岐点:IT導入完全ガイド(3/4 ページ)
一見すると同じように見える「超高速開発ツール」、開発するアプリケーションの種類によっても選択肢が異なる。「SIer不要論」「情シス飛ばし」の状況を打破する、超高速開発ツール選択の勘所を徹底解説する。
超高速開発ツールはアプリケーション開発を効率化してくれるすぐれものだが、実際にどういった視点で製品を選ぶべきなのだろうか。ここで、超高速開発ツールを選ぶ際のポイントについて整理していこう。
目的によって作り分けるSoEとSoR
超高速開発ツールを利用する目的は、アプリケーションを効率的に作成することだろう。ただし、どんなアプリケーションを作るのかによって、必要な機能などが異なってくるものだ。
大きく分けてアプリケーションの種類には、従業員が日常的に利用する業務アプリケーションやECサイト、ソーシャルメディアなどユーザーとの関係性を強化していく「SoE(Systems of Engagement)」と、これまでの基幹業務システムなど記録のためのアプリケーション「SoR(Systems of Records)」がある。これらをまとめて取り扱ってしまうと、選択を誤ってしまうものだ。
基幹業務システムに超高速開発ツールを用いるのであれば、きちんと統制の効いた開発が何よりも求められ、安定稼働が何よりも必要だ。逆にSoE系のアプリケーションは、デジタルイノベーションを起こすためのアプリケーション開発が求められるため、ユーザーからの要求に即座に反映できるかどうか、モバイルファーストな考え方でアプリケーション開発できるかどうかなど、SoRとはまったく異なる要件が重要になってくる。自社が求めるアプリケーション開発ニーズに照らし合わせて、ツール選択を行っていく必要がある。
なお、米国ではSoE系のツールを「Low-code Platform」と呼んでおり、ソースコード自動生成ツールは含まれていないことが多い。
そう考えると、例えばSoE系のアプリでは、各部署と緊密にコミュニケーションしながらアジャイル的な手法で開発していくことが求められ、そのためにはコラボレーションするための機能が必要になる。超高速開発ツールの中でもタイムラインのようなソーシャル機能を持っているものがあり、開発要件に対して日々関係者とやりとりしながら進められるのはありがたいはずだ。
また、SoE系のアプリケーションの場合は、外部の新しい技術にツール側が追随していく必要があり、どこまで新しい技術を早くキャッチアップしてくれるのかという視点は重要になってくる。新しい技術に即応できないと、素早くアイデアをリリースできないためだ。超高速開発ツールを導入する目的をあらためて検討したうえで、必要な機能が備わっているかどうかしっかり見極めてもらいたい。
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