IoTを支える10のテクノロジーとは? ユースケースと支出の動向:すご腕アナリスト市場予測(2/4 ページ)
2020年には13兆円を超える市場規模になると予測されているIoT。産業別ユースケースとテクノジーの広がりについて詳しく解説する。
IoTの産業別ユースケース
この調査では国内の産業分野を4つのセクターに分類し、各セクターを29のユースケース、10のテクノロジーに分解して支出額を算出した。この切り口は当面のIoTを整理して理解するのにも役立つので、以下に簡単に紹介していくことにする。
IoTに取り組んでいる主要産業分野(合計14業種)を大きく次の4つのセクターに集約している。
- 製造、資源セクター
- 流通、サービスセクター
- 公共、インフラ、金融セクター
- 個人消費者、クロスインダストリーセクター
これらについて、図2に見るようなユースケース別と、図3に見るようなテクノロジー別の観点で調査し、支出額を算出した。この分類はIoTそのものの理解にも役立つことと思う。以下に、この整理法に従ってそれぞれのユースケースと市場の特徴を説明していく。
(1)製造、資源セクターのIoTユースケース
現在最も支出が行われているのが製造、資源セクターだ。支出額ベースで比較した場合、「製造オペレーション」と「製造アセット管理」がこのセクターの9割を占めている。製造機械をきめ細かく管理して、より低コストで品質の高い製造にIoTを活用するような使い方がこの分野の中核的なニーズとなっている。
またIoTのモデルケースとして、国内ではコマツの「KOMTRAX(コムトラックス)」などの建機アセット管理が早期から話題となったが、これは建設会社などによる建機アセット管理への支出としてカウントされている。なお、コマツのIoTは「スマートコンストラクション」といった建設現場工程全体を支援するものに発展しており、建設会社などにおけるIoT活用の幅は今後も継続的に広がるものと見込まれる。これに加え、農業分野でのフィールド監視などが今後も拡大していくだろう。
(2)流通、サービスセクターのIoTユースケース
流通、サービスセクターで注目されるのは、CAPEX(設備投資)からOPEX(運用費)へのビジネスシフトに対応する新サービスが、IoTの活用で充実してきていることだ。例えばロールスロイスのような航空機エンジンメーカーは、航空会社へ利用時間に応じ月額課金で自社製品をレンタルするサービスを始めた。
その一環としてエンジンが生み出す膨大なフライトデータを常時分析し、効率的な保守、メンテナンスサービスも実現している。こうした、ロールスロイスのようなメーカーがITベンダーなどとのパートナリングを強化し、エンドユーザーに向けて最適化したIoTソリューションを提供する流れが出てきており、今後の伸び代が大きいと考えられる。
流通、サービスセクターでは、以前よりリアル店舗とECの統合在庫管理や共通商品の提供などのオムニチャネルオペレーション、運輸の合理化のためのフリート管理、輸送貨物管理といったユースケースとが主に市場を形成している。しかしながら2020年までには、ほぼそれらへの支出に匹敵する規模で、上記の航空会社にみられるような新たな用途が拡大していくと予測される。
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