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寝ている間にインシデント対応完了、ここまで進んだネットワーク管理の自動化IT導入完全ガイド(1/3 ページ)

SDNが使えるとITインフラの管理業務はどう変わる? 目的別に使いどころや、情報システム運用管理担当者の業務改善のポイントを紹介する。

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 SDNといっても規模や用途、目的によって使いどころは異なるが、大手でなくても導入する価値があるというところがポイントだ。運用管理の効率化だけでなく、万一のインシデント対応にも効果がある。

 ネットワークを仮想化し、ソフトウェアベースで柔軟に構築・更新できるようにするSDN(Software Defined Network)。ネットワーク機器の物理構成にとらわれない柔軟なネットワーク制御を可能にすることで、企業にさまざまなメリットをもたらす技術として大きな期待を集めている。本稿ではSDNの製品やサービスを選定する際に押さえておきたいポイントを、導入目的別に幾つか挙げてみよう。

大規模ネットワークのきめ細かな制御に向くホップバイホップ方式

 SDNはネットワークを仮想化してソフトウェアで一元的に制御できるようにする技術だが、ネットワークの仮想化そのものは、今までもVLANを用いれば可能だった。しかしVLANには、ネットワーク機器の設定作業が煩雑だという大きな課題とともに、実質約2000程度のネットワークセグメントしか管理できないという制限があった。このセグメント数は、一般企業の社内ネットワークとしては十分な数かもしれないが、大規模なデータセンターやクラウド環境を管理するとなると制約になりかねない。

 その点SDNであれば、この上限が事実上取り払われ、膨大な数のネットワークセグメントを容易に扱えるようになる。そのため、多くの顧客にクラウド環境を提供するクラウド事業者や、世界中に散らばるビジネス拠点や子会社向けにITインフラを提供するグローバル企業のデータセンターなどにおいては、SDNは極めて魅力的なソリューションだといえよう。

 ちなみにSDNの実装方式には「ホップバイホップ方式」と「オーバーレイ方式」の2種類があるが、大規模環境で多種多様なトラフィックを効率よくさばかなくてはならないケースではホップバイホップ方式の方が適していることが多い。OpenFlowコントローラーとOpenFlowスイッチが連携することで、処理オーバーヘッドを最小限におさえながら最大限のネットワーク性能を発揮できるようになる。もちろん、大規模ネットワークには付き物の「ネットワーク管理の煩雑さ」を解消しつつ、だ。

オーケストレーション製品との連携まで視野に入れるか?

 パブリッククラウドやプライベートクラウドのサービスがユーザーに提供するのは、何もネットワークリソースだけではない。サーバやストレージなども含めたシステムリソース一式を、ユーザーニーズに応じて適切に組み合わせた形で提供する必要がある。

 このシステムリソースの調達や設定の作業を全てを人手で行っていては、運用に多くの手間とコストがかかってしまい、ユーザーが求めるシステム調達のスピード感に満足に応えることは難しいだろう。そこで、クラウド環境からシステムリソースを切り出したり、設定を施す作業を自動化して、より効率的にクラウド環境を運用したりしようという動きが出ている。

 この目的で使われるのが、いわゆる「クラウドオーケストレーション」と呼ばれるミドルウェアだ。オープンソースのIaaS基盤ソフトウェア「OpenStack」のコンポーネントの1つ「Heat」などがよく知られているが、その他にもヴイエムウェアやシスコシステムズといったベンダーが独自にオーケストレーション製品を提供している。

 これらを使い、ネットワークを含めたクラウド環境全体をインテリジェントに管理するには、SDNとオーケストレーション製品とが密接に連係して協調動作する必要がある。そのためのインタフェースは「ノースバウンドAPI」としてSDNコントローラーに実装されており、その仕様はベンダーごとに異なる。従って、もし将来的にオーケストレーションによるクラウド環境の自動管理まで視野に入れているのであれば、SDN製品が実装しているノースバウンドAPIの仕様はあらかじめ確認しておく必要があるだろう。

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