IaaS、PaaS、SaaSの利用状況(2016年)/後編:IT担当者300人に聞きました(2/2 ページ)
キーマンズネット会員456人を対象にIaaS、PaaS、SaaSに関するアンケート調査を実施した。導入率や導入後の課題などの実態が明らかになった。製品別の認知度などが明らかになった。
認知度も利用率でも伸び悩んでいるPaaS
次に、「PaaS製品の認知度」と「PaaS製品の利用状況」を聞いた。
製品別の認知度では、「Google App Engine(54.6%)」「Oracle Cloud(44.5%)」「Force.com(39.3%)」が上位となった。
また、PaaS製品のプライベート、パブリックそれぞれにおける利用状況としては、全体では「プライベートPaaSを導入済み」が16.2%、「パブリックPaaSを導入済み」が12.5%だった。
PaaSは、後述するIaaS製品と比べて個々の製品の認知度が低く、導入率もIaaSを下回っている。PaaS環境を利用するには、ITインフラや運用プロセスを一定のレベルで標準化、共通化することが前提だ。このため、個別最適なカスタマイズのニーズが比較的高いとされる日本企業では、PaaSというITの形態がまだ十分に浸透していない可能性がある。
2強の牙城は強固ながら、認知度では日本企業も善戦するIaaS
最後に、「IaaS製品の認知度」と「IaaS製品の利用状況」を聞いた。
製品別の認知度では、「Microsoft Azure(76.1%)」「Amazon Web Services(74.4%)」が上位を占め、「IBM SoftLayer」は47.9%だった(図2)。国産ベンダーでは「Niftyクラウド」が50.7%でトップとなった。
また、IaaS製品のプライベート、パブリックそれぞれにおける利用状況としては、全体では「プライベートIaaSを導入済み」が20.0%、「パブリックIaaSを導入済み」が15.1%で、SaaSに次ぐ導入率であった。
PaaSとIaaSの導入率を企業規模別に見ると、パブリックよりもプライベートの方が中小企業での導入率が大きく下がる。この点については中小企業がプライベートクラウドを構築してもスケールメリットを得にくいためだと推察できる。
一方で、一般に低価格で運用費用を負担せずに利用できることから、比較的小規模な組織と親和性が高いといわれるパブリックなSaaSについて、中小企業での利用率が中堅〜大企業を下回っていたのは意外な結果であった。
このことは「SaaSの利点への理解が中小企業に浸透していない」ことを表しているといえるが、同時に「IT担当者がいない」「IT予算見直しの機会がない」といった事情を背景に、検討機会そのものが不足している可能性も考えられるだろう。
後編では「IaaS PaaS SaaSそれぞれの認知度」と「IaaS PaaS SaaSそれぞれの利用状況」をレポートした。IaaSではパブリックサービスを提供する2社が高い認知度を誇る中、国産IaaSが高いポイントを獲得したことが明らかになった。
また、SaaSでは、導入を検討する企業は多くはないものの着実に増加傾向にあることが分かった。一方で、SaaSと親和性が高いと考えられる中小企業ではSaaSの利用率が平均を下回っていることから、SaaSの潜在的な市場はこれから拡大する可能性があると考えられる。
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