仮想化時代のソフトウェア資産管理、ライセンス違反で億円単位の請求も?:IT導入完全ガイド(2/3 ページ)
Oracle DBやVMなどのライセンス管理はしっかりできているか。煩雑化しがちなサーバ仮想環境のライセンス管理を怠ると数億円レベルの請求があるかもしれない。
サーバ仮想化環境やクラウドでは契約と実態が見えにくくなる
特にライセンス契約と実態との対応が見えにくくなるのが、IaaSやPaaSを含むサーバ仮想化環境だ。仮想サーバ用のソフトウェアライセンスには「サブキャパシティーライセンス」(物理サーバ1台ごとのライセンス契約である「フルキャパシティーライセンス」に対応する用語)が多く、CPUコア数やMIPS値に応じて課金されるものがある。
不用意にリソースを変更すると、すぐにライセンス違反が起きてしまい、追加課金される。気付かないまま長期間違反を続けると、後日ベンダーから巨額の請求をされることになる。それであれば、フルキャパシティーライセンスの方が、自由度が高くて良いということになるが、これはそもそも高額なので、コスト適正化の面ではジレンマだ。
また、障害時に備えた仮想サーバの物理サーバ間移動の設計などによってもライセンス違反は起きがちだ。図3はデータベースソフトのライセンスの例だが、プロセッサライセンスで契約している場合だと、CPU数の少ない物理サーバから多い物理サーバに仮想サーバを移動させる設定では、ライセンス数が余計に必要になってしまう。気付かずにそのまま運用しているとライセンス違反となる。
これだけでも煩雑なようだが、製品によってはユーザータイプを分類して詳細な条件をつけるというように、複雑きわまりない条件で課金される場合もある。また使用場所(国や地域、使用場所限定など)、使用期間、使用目的なども制限されていることがあるので、十分に注意しなければならない。
コラム:Oracleのマルチコアプロセッサとクラウドに対するライセンスの考え方
図3のOracleの場合はマルチコアプロセッサにそれぞれの製品別のコア係数(多くは0.5、SPA RC T3などは0.25、Itaniumなどは1.0)を組み入れた計算式(図中)によってライセンス数が導かれる。クラウドプラットフォームではAWS・EC2・S3・Azure上での使用を前提にしており、Standard Editionではインスタンスのサイズで価格が決まる。4バーチャルコア以下の場合は、1ソケットとしてカウントし、それより多くのバーチャルコアがある場合は、インスタンスのバーチャルコア数を4で割り、小数点以下を切り上げてカウントする。他にもNamed User Plusライセンスと言って使用するユーザー数によるライセンスもある(最小契約数の制限がある場合もあり)。
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