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ソフトウェア資産管理でできるリスク管理とコスト削減、億円単位の請求を受けないためにIT導入完全ガイド(2/2 ページ)

大企業で4億円、中小企業で1億円の賠償請求。そんなリスクから逃れるために必要なソフトウェア資産管理の4つの台帳を紹介する。

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ソフトウェア資産管理のために整備すべきプロセス

 ここでは簡便に、ソフトウェア資産管理サービスを提供しているベンダーのサービス内容から、ソフトウェア資産管理の実現のために何をすれば良いかを見てみよう。図2は、IT資産管理ツールベンダーが提供しているソフトウェア資産管理サービスの例だ。

図2 IT資産管理ツールを利用したソフトウェア資産管理サービスの例
図2 IT資産管理ツールを利用したソフトウェア資産管理サービスの例(出典:ディー・オー・エス)

 この図に見る通り、ソフトウェア資産管理の実現・運用のために、ツールが適用できる範囲は限られている。残りはほぼ人力で行うことになるが、それに対するコンサルティングとサポート、教育、場合によっては代行を行うというサービスになっている。

 このサービスでは、利用企業個別にソフトウェアの利用状況が「ソフトウェア分析レポート」として提供される。それには全体の利用ソフトウェア(有償・無償の区別(選別)あり)の集計、ライセンス登録外のソフトウェア、登録されたソフトウェアの内容などが整理された状態で報告される。同時にライセンスと実態の食い違う部分の指摘と是正アドバイス、登録外ソフトウェアについては調査すべき項目などについてのアドバイスがコメントとして提供される。全体的な問題点の把握と、行動すべきポイントが分かるようになっている。

 もう1つSIerが提供するIT資産管理サービスも見てみよう(図3)。こちらはIAITAMのベストプラクティスをベースにしているという。上記とは表現が違うが、プロセスの流れは似通っている。ただし細かい部分では考え方を異にしているようだ。

図3 IAITAMのベストプラクティスベースのIT資産管理サービスの例
図3 IAITAMのベストプラクティスベースのIT資産管理サービスの例(出典:ウチダスペクトラム)

 このサービスでは海外製のIT資産管理ツール「Flex Net Manager Platform」(FNMP)を利用している。FNMPはソフトウェアライセンス最適化(SLO)を目的として、豊富なソフトウェアについて、SKU(Stock Keeping Unit、最小在庫管理単位)と呼ばれる細かな利用規約の違いを区別できる管理単位を利用するところが特徴だ。

 これが同じソフトウェアでも購入形態が違って利用規約が異なる場合に正確に分類できる理由になっている。SKUベースの製品マスターと、ソフトウェア辞書を用いた名寄せ済みのインベントリ情報、さらにライセンス利用規約(PUR:Product Use Rights)のマスターを突合して整合化、最適化、共有するところまで自動化できるフレームワークがある(図4)。

図4 IT資産管理の自動化フレームワークのイメージ
図4 IT資産管理の自動化フレームワークのイメージ(出典:ウチダスペクトラム)

 サービスの話に戻すと、どちらの例でもコンサルティングの他に教育サービスが含まれているところに注目したい。ソフトウェア資産管理は管理の運用が始まってからが本番で、日々生じるシステム変更を反映しながら、管理精度や効率を上げ、分析を正確に、効果的に行えるように磨き上げていくことが不可欠だ。専門家によるマネージドサービスに任せるというのも1つの手段ではあるが、将来長期的に継続する管理であることを考えると、マネージドサービスを利用するにしてもノウハウや知識を自社内で習得できるようにし、社内にソフトウェア資産管理のエキスパートを育成するつもりで取り組むことが勧められる。

利用規約の違いをどこまで細かく管理できるかがツール選びのポイントの1つ

 ツールを選定するときのポイントは、ソフトウェアライセンスの利用規約の違いをどこまできめ細かく分けて管理できるかだ。細かい違いが区別できるほど、ライセンスコストの無駄部分を省略できる可能性が高まる。またライセンスの再利用、デバイスへの付け替えなども可能になるかもしれない。

 ソフトウェア辞書は、このようなライセンスの違いを参照できるように大量の製品の情報を集約したデータベースのことを言う。これがソフトウェア資産管理の細かさの決め手になる。名寄せ辞書は、インベントリ収集で集められる情報を参照して、同じ管理単位として管理すべきか否かを決める目的でのソフトウェア情報の名寄せを行うものだ。ツールによってはこれも含めてソフトウェア辞書と呼んでいる。

 日本ではSAMACが開発したソフトウェア辞書が多くのIT資産管理ツールベンダーで利用されている。ベンダーによってはそれにプラスして独自開発のソフトウェア辞書を提供している場合もある。どのような辞書を使うのか、管理単位がどの程度細かいのかはツール選びのポイントの1つになる。

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