遠隔会議システムの利用状況(2016年):IT担当者300人に聞きました(3/3 ページ)
キーマンズネット会員299人にアンケート調査を実施した。遠隔会議システムの使用頻度や導入時の重視ポイントなどが明らかになった。
導入済みの遠隔会議システムに対する満足度は2年前に比べて8ポイント上昇
最後に、遠隔会議システムの導入目的(複数回答)を聞いた。その結果、導入済みの人は同率1位は「出張・移動コスト(交通費・宿泊費・人件費)・時間の削減」と「社内コミュニケーションの円滑化・活性化」で73.2%、3位が「日常の会議やミーティング(役員会議を除く)」で39.7%、4位が「役員会議」で21.1%と続いた(図3-1)。
一方、導入予定の人は上位4位までの順序は変わらなかったが、「日常の会議やミーティング(役員会議を除く)」が51.5%、「役員会議」が33.3%でそれぞれ約10ポイント増加している(図3-2 )。これから導入する企業においては、従業員と役員の違いにかかわらず会議で利用するケースを増やし、移動時間やそれに伴う経費などの削減につなげようとする傾向がありそうだ。
同時に、遠隔会議システムの導入時に重視したポイントを上位3項目を選んでもらう形で聞いたところ、1〜3位の合計値では「ユーザーの使いやすさ・操作性(71.6%)」「導入コスト(67.2%)」「システム運用管理のしやすさ(43.7%)」「セキュリティへの対応(33.9%)」「音質の良さ(14.8%)」「画質の良さ(14.2%)」という順になった。
全体的に「使いやすさ」や「性能」を重視している様子が見てとれるが、「他社遠隔会議製品との相互接続性(10.4%)」や「モバイル対応(4.9%)」は下位にとどまっている。「使いやすさ」や「音質・画質が良い」へのニーズが高いのは、それだけ操作性や性能に対する不満が多いことの裏返しなのか、あるいは製品ごと、製品タイプによる性能格差が大きいのかもしれない。
そこで次に、導入済みの遠隔会議システムに対する満足度について聞いてみたところ、「とても満足」と「まあ満足」を合わせた「満足している」は78.1%、「やや不満がある」と「とても不満がある」を合わせた「不満である」は21.9%だった。この結果を2014年調査と比べてみると、「満足している」が8ポイント増、「不満である」が8ポイント減となっている。
前述のように、遠隔会議システムの導入率は2年前と比べて3.2ポイントの微増であること、その中でWeb会議のニーズが高いことを考え合わせると、電話会議やビデオ会議からWeb会議へのシフトが起こっており準備の手間が軽減されたことが、満足度が高まったことの要因の1つであると予想できる。
とはいえ、まだ5人に1人以上は「不満」を抱えているのが現状である。その理由をフリーコメントから拾ってみると、「音声や画像の品質が悪い」点を挙げた回答者が最も多く、使い勝手の悪さを指摘する声は少なかった。少数意見としては、「資料などを共有して見ながらの会議ができない」「プレゼン資料が画面に表示できないことがある」といった指摘があった。
最後に、「遠隔会議システム導入時に知りたい・知りたかった情報」について、フリーコメントで尋ねたところ、品質やコスト、手間などに関することの他に、「接続用サーバの他社製品との相互接続機能の有無」「他社メーカーとの互換性」「他システムとの接続性」といった「互換性」「接続性(汎用(はんよう)性)」に関する意見が多かった。
また、「導入したのちの活用事例を知りたい」という少数意見もあった。社内同士の会議だけでなく営業先での活用や、テレワークなど幅広い活用シーンで活躍するようになった遠隔会議システムであるが、導入前にはしっかりと活用事例を想定し、環境整備に努めることで従業員がフル活用できるよう、検討を続けてほしい。
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